プランタンで伊良原、塚田、柵瀬茉莉子、保坂翠がエコアート

【銀座新聞ニュース=2012年3月27日】プランタン銀座(中央区銀座3-2-1、03-3567-0077)は3月27日から4月2日まで本館6階アートギャラリー「ギャルリィ・ドゥ・プランタン」でいらはらみつみさん、塚田尚三さんらによる「エコ&アートプロジェクト リビジョン(RE-VISION)-自然素材の魅力」を開催する。

漆作家のいらはらみつみ(伊良原満美)さん、いらはらみつみさんのパートナーで、元青年海外協力隊員の塚田尚三(つかだ・しょうぞう)さん、木工作家の柵瀬茉莉子(さくらい・まりこ)さん、漆芸作家の保坂翠(ほさか・みどり)さんの4人が、「リビジョン」という生活の中で消費されながら消えていくものに、新たな視点で「アート」にして循環させるという試み「エコとアート」をテーマにした作品を展示販売する。

2010年は「循環する美術」という副題で、2011年から「自然素材の魅力」としている。

今回はいらはらみつみさんが2011年3月11日の新聞を利用して、漆を塗った「キオクノタネ11/キオクノタネ12」を、塚田尚三さんが木片とすず、ロープなどを使った作品、柵瀬茉莉子さんが木を金糸やポリエステル糸で縫った「2010.11.15 縫う」、保坂翠さんが漆、麻布、すず粉を使った作品などを出品する。

いらはらみつみさんは1972年東京都生まれ、1999年に東京芸術大学大学院美術研究科漆芸専攻を修了し、在学中に安宅賞、1999年にサロン・ド・プランタン賞、2000年に東京芸術大学漆芸科の非常勤講師、2005年に国際漆展銀賞を受賞している。

塚田尚三さんは1972年東京都生まれ、東京芸術大学美術学部工芸科を卒業、同大学院美術研究科鍛金専攻を修了、2006年から2年間、青年海外協力隊員としてベトナムに派遣、青年団配属の教育施設「チルドレンスハウス」で美術などを指導し、帰国後は高校デザイン科の講師の傍ら、木材(端材)、金属などを組み合わせた作品を制作している。

柵瀬茉莉子さんは1987年神奈川県横須賀市生まれ、筑波大学大学院クラフト領域に在籍中。

保坂翠さんは神奈川県生まれ、1992年に東京芸術大学美術学部工芸を卒業、2004年同大学大学院工芸漆芸修士課程を修了、東京芸術大学修了作品展でプランタン賞、2007年に日本クラフト展で入選、湘南美術学院講師を務めている。

開場時間は11時から20時30分(日曜日は19時30分)まで、入場は無料。

江戸の会、建築家の前川康が大震災への心構えを語る

【銀座新聞ニュース=2012年3月27日】「懐かしい江戸へいらっしゃいの会」(事務局・港区六本木7-8-8、03-3479-3644)は4月8日18時から銀座会議室三丁目(中央区銀座3-7-10、銀座アネックスビル2階)で「第95回懐かしい江戸へいらっしゃいの会」を開催する。

「懐かしい江戸へいらっしゃいの会」は約15年前に浄土真宗本願寺派「妙泉寺」(中央区築地4-14-18)の建て替えに際して、本堂で一夜を語り明かす会を開催したところ、参加者からの要望で定期的に開くようになり、参加者が増えたため文祥堂ホールに移して年間5回程度開催してきた。しかし、文祥堂ホールが2010年8月末をもって閉鎖されたため、第89回から銀座会議室三丁目に移して続けてきた。

2011年は東日本大震災の影響を受け、その後例会を3月以降中止し、9月から再開した。今回は2012年としては第2回目となり、「前川建築研究室」代表で、NPO(特定非営利活動)法人「伝統構法の会」会長の前川康(まえかわ・やすし)さんが「揺れ、震動を熟知する、いつかくる不安のおびえに備える心」と題して、大震災の備えについて語る。

前川康さんは岩手県奥州市の歴史公園「藤原の郷」の建築や、その中にある「伽羅御所(きゃらごしょ)」の復元、大洲城天守(愛媛県)の復元などを手がけている。

前川康さんは1942年静岡県生まれ、株式会社前川建築研究室代表取締役で、NPO法人「伝統構法の会」会長、2005年に「第1回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞」を受賞している。

時間は18時から21時で、料金は弁当込みで4000円。申し込み、問い合わせは「懐かしい江戸へいらっしゃいの会」まで。

伊東屋で建築士の渡辺哲也展、素材から作り出す絵の具で

【銀座新聞ニュース=2012年3月27日】銀座・伊東屋(中央区銀座2-7-15、03-3561-8311)は3月23日から4月1日まで本館9階ギャラリーで渡辺哲也さんによる「マテリアル・アーツ(MATERIAL ARTS)-素彩画展-その絵にはレシピがあった」を開催している。

1級建築士の渡辺哲也(わたなべ・てつや)さんがさまざまな素材からその色を抽出した絵の具を作り、それを使って素材そのものの「彩」をキャンバスに再構築する、独自の手法で描く「素彩画」46点と水彩画9点を展示している。

渡辺哲也さんはフランスパンを描く場合は、フランスパンの材料となる小麦粉をを焙せんすることによって茶系の絵の具を作り出し、それを使ってフランスパンを描く。同様に、コーヒーはコーヒーを、ワインはワインを、お地蔵は石を、抹茶は抹茶を、玉ねぎは玉ねぎを素材にして色を抽出して、絵の具をつくりだし、絵を描いている。

渡辺哲也さんは1955年愛媛県生まれ、設計事務所を経て、1991年に渡辺建築事務所を設立し、現在、設計士として建築バースを制作するかたわら、イラストや水彩画などを描いている。

3月31日と4月1日は渡辺哲也さんが来場する。

開場時間は10時から20時(日曜日、祝日は19時、最終日は18時)まで。入場は無料。

1頭の馬を通して戦争の悲惨さを描いた上質な「戦火の馬」(79)

【ケイシーの映画冗報】「戦火の馬」を監督したのはスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)です。本項では彼の監督作品としては2011年12月8日に「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」を取り上げています。

早撮りで知られる(3時間の大作「プライベート・ライアン」(Saving Private Ryan、1998年)を2カ月以内で撮ってしまった)というスピルバーグにしても、120日ほどで劇場用作品を2本仕上げるというのは尋常な仕事量ではありません。

これについては、本人が種明かしをしてくれました。
「(3年にわたる制作期間となった)『タンタン』にかんしては、僕が何もしなくていい時期が丸1年あったんだ(笑)。そのタイミングで『戦火の馬』に出会ったんだよ」(月刊「映画秘宝」2012年4月号)。

似たような例に、ロバート・ゼメキス(Robert Zemeckis)が、「キャスト・ア ウェイ」(Cast Away、2000年)と「ホワット・ライズ・ビニース」(What lies Beneath、2000年)という2本の監督作品を5カ月ほどのインターバルで公開したことがありました。

これは「キャスト・アウェイ」で南海の孤島でサバイバル生活を送る主人公を演じるトム・ハンクス(Tom Hanks)が、漂流者としての役作りのための減量期間中、本編の撮影が休みになったので、手持ち無沙汰のゼメキス監督が、もう1本の「ホワット・ライズ・ビニース」を撮っていたというものです。

本作の基本ラインはイギリス生まれの馬ジョーイと、そのジョーイを大きな愛情を持って育てた少年アルバート(演じるのはジェレミー・アーヴァイン=Jeremy Irvine)との交流ということになりますが、作品の大部分において、ジョーイとアルバートは、離ればなれとなっています。

第1次世界大戦(1914年7月28日から1918年11月11日)の勃発により、軍馬としてイギリス軍に買い取られたジョーイは、騎兵将校のニコルズ大尉(演じるのはトム・ヒ ドルストン=Tom Hiddleston)の騎馬として、フランスの戦地に赴きます。

19世紀まで、騎兵部隊の突撃は戦いの帰すうを決める重要なものでした。よく目立つ、きらびやかな軍服に身を包んだ騎兵が御する数百キロの重さの馬が、一糸乱れずに集団で突進することが、戦車も飛行機もない戦場では、もっとも恐れられた戦法だったのです。

ニコルズ大尉の配属された騎兵部隊は、敵であるドイツ軍への奇襲攻撃をおこない、油断していた敵軍を打ち破ったかに見えましたが、ドイツ軍は大量の機関銃を配しており、その連射連撃によってイギリス騎兵隊は壊滅、ニコルズ大尉も戦死し、騎手を喪ったジョーイはドイツ軍の軍馬として働かされることになります。

その後のジョーイは、ドイツ兵の脱走に使われたり、フランス人少女の愛馬となったり、またドイツ軍に徴発されたりと、流転の生活を送っていきます。

その一方で、ジョーイとの再会を願うアルバートはイギリス軍に志願し、フランス戦線の塹壕(ざんごう)に身を置いていました。そこは銃砲弾がひっきりなしに飛び交い、泥にまみれた劣悪な世界でした。豪奢(ごうしゃ)な軍服などなく、汚れきった姿でだれもが首をすくめて歩いています。

ヨーロッパで「一番ひどい戦争」というと第1次大戦を意味することが少なくないそうです。4年3カ月の長期戦だったのですが、当事者は「短期決戦」で終わると信じ、8月ころに開戦したとき、フランス軍の合い言葉は「クリスマスはベルリンで(祝おう)」で、ドイツ軍も同様に「クリスマスはパリで」と語り合ったといいます。

潜水艦や飛行機が戦場に送られ、本作にもチラリと姿を見せる戦車が発明されたのも第1次大戦でした。ヨーロッパの戦闘員860万人(ほかに非戦闘員の死者が約1000万人)が戦死したこの戦争のあと第2次世界大戦(1939年から1945年)が起こるまで、第1次大戦は「諸戦争を終わらせる戦争(War to end wars)」とも呼ばれました。当時は「もう大きな戦争はないだろう」と考え、そう信じた人々は多かったのです。

現代に生きるわれわれは、上記のようなことはありえなかったことは承知なのですが、近現代史の研究家たちによれば「第1次大戦からの比較的平和だった20年間に、ちゃんとした策を各国政府が講じておけば、第2次大戦の戦禍は実際よりも縮小、あるいは発生しなかったのではないか」という説も主張されています。

「忙中閑あり」にどう処するのかは、人間にとって重要なのかもしれません。スピルバーグ監督は、そうした時間を活用し、アカデミー賞6部門にノミネートされる作品を生み出しています。ノミネートだけという結果に終わりましたが、本作は戦火に翻弄(ほんろう)される人々を1頭の馬を置くことで活写した上質な1本だと感じました。

次回は「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を予定しています(敬称略。【ケイシーの映画冗報】は映画通のケイシーさんが映画をテーマにして自由に書きます。時には最新作の紹介になることも、過去の作品に言及することもあります。当分の間、隔週木曜日に掲載します)。

丸善丸の内で大東大高校の佐藤和喜が四季墨彩画展

【銀座新聞ニュース=2012年3月26日】丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は3月28日から4月3日まで4階ギャラリーで佐藤和喜さんによる「春夏秋冬いのちのひかり展」を開催する。

大東文化大学第一高校教諭で、30年以上も創作活動を続けている墨彩画家の佐藤和喜(さとう・かずき)さんが丸善で開く7回目の個展で、独自の画風の墨彩画に言葉を添えて描いている作品を展示する。

佐藤和喜さんは1956年岩手県奥州市江刺区生まれ、1978年に大東文化大学文学部を卒業、大東文化大学第一高校教諭(国語)に就任し、1986年に初めて個展を開催、以後、丸善や伊勢丹などで個展を中心に活動し、1998年に墨彩詩画集「絆 母さんありがとう」を出版している。

2006年に墨彩詩画集「おーい、元気か」を刊行、2007年に指導する大東文化大学第一高校弁論部を全国優勝に導いている。2006年から丸善・丸の内本店で個展を開催し、2009年に「めっ!叱り言葉は励まし言葉」を刊行している。

3月28日から4月2日の11時から19時まで佐藤和喜さんが来場する。

開場時間は9時から21時(当分の間は20時、最終日は17時)で、入場は無料。