丸善丸の内で中村愛が水彩画「春の花」展

【銀座新聞ニュース=2021年3月31日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は3月31日から4月6日まで4階ギャラリーで中村愛さんによる水彩画展「『春のおとずれ』ーAi Nakamura Watercolor Exhibition」を開く。

丸善・丸の内本店で3月31日から4月6日まで開かれる中村愛さんの水彩画展に出品される作品。

日本画家で、絵画教室「アトリエAI(アイ)」(埼玉県草加市栄町3-1-15、中村ビル)を主宰する水彩画家の中村愛さんが3年ぶりに丸善・丸の内本店で個展を開く。昨年の開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い延期されていた。

今回は、春の花を中心に、さまざまな季節の花を滲む絵の具に想いを込めてたくさん描いており、新作を含め約25点を展示する。また、会場では花を描いた既刊本も販売する。

中村愛さんは1980年埼玉県生まれ、2004年に東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、2006年に同大学大学院美術研究科日本画修士課程を修了、新生展で新生賞、2007年に松柏美術館花鳥画展で優秀賞、2009年に同大学大学院美術研究科博士後期課程を修了、2009年から同大学美術学部絵画科日本画教育研究助手を務め、現在、絵画教室「アトリエAI」を主宰している。

開場時間は9時から21時(最終日16時)まで。

銀座三越で今井龍満「偶然を生きるペットや身近な生き物」展

【銀座新聞ニュース=2021年3月31日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は3月31日から4月6日まで本館7階ギャラリーで今井龍満さんによる個展「偶然を生きるものたち2021″Pets 身近に生きるものたち”」を開く。

銀座三越で4月6日まで開かれている今井龍満さんの個展に出品されている作品。

カンバスにエナメル塗料を使って輪郭線を描き、アクリル絵具で色を出すという独自の「ポアリングの技法を用いて、“偶然を生きるいきものたち”」を描く今井龍満(りゅうま)さんが2年ぶりに銀座三越で個展を開く。本来は2020年4月に銀座三越で個展を開く予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により「緊急事態宣言」が出されたため、延期された。

今井龍満さんは「主に人生の中の偶然をテーマに作品」を制作している。この1年は、「主に家族などの身近な人たちと通常より親密な時間を過ごし、さまざまな考えを持った方も多く、またペットを飼われている方々は彼らにいつも以上に多くの癒しや喜びを与えてもらった」と受け止めており、今回は、「そのペットや身近な生き物たちのモチーフを中心に制作」したという。

今井龍満さんは1976年東京都生まれ、1995年にフランス・パリのグラン・ショミエール美術学校に学び、2009年から個展を開き、2013年には韓国ソウルで個展(2015年、2017年も)、2015年にタイ・バンコクで個展、銀座三越では2016年から毎年、個展を開き、2019年に香港で個展を開いている。

開場時間は10時から19時(最終日は18時)まで。

ヴァニラ画廊で山下和美「画業40年」展、著者解説付生原

【銀座新聞ニュース=2021年3月28日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル地下2階、03-5568-1233)は3月30日から4月18日まで山下和美さんによる「画業40周年記念原画展」を開く。

ヴァニラ画廊で3月30日から4月18日まで開かれる山下和美さんによる「画業40周年記念原画展」に出品される作品。

1980年に「週刊マーガレット」(集英社)にて「おし入れ物語」でデビューしたマンガ家の山下和美さんが2020年に画業40周年を迎えたことから、記念して主要作品の原画展を開く。

今回は「ランド」(「モーニング」にて2014年から連載で、2020年9月に完結)、「不思議な少年」(「モーニング」にて2001年から不定期連載で、一時休載を経て現在も連載中)、「天才柳沢教授の生活」(「モーニング」にて1988年7号から現在も連載中)を中心とした代表作の中から選んだ90点の生原稿を展示する。

それぞれの作品には山下和美さん自身のコメントが付けられている。また、会場ではサイン入り複製原画や、展示会限定オリジナルグッズも販売し、入場特典のプレゼントもある。

ウイキペディアによると、山下和美さんは1959年北海道小樽市生まれ、横浜国立大学教育学部を中退、1980年に「週刊マーガレット」にて「おし入れ物語」でデビュー、当初は少女マンガ誌で活動していたが、その後は青年マンガ誌「モーニング」(講談社)に活動の場を移した。

代表作に東北大学経済学部教授だった父・古瀬大六(1917-2007)を主人公のモデルとした「天才柳沢教授の生活」(1988年から「モーニング」にて連載)、マーク・トウェイン(Mark Twain、1835-1910)の同名の小説から着想を得た「不思議な少年」などがあり、2003年に「天才柳沢教授の生活」で第27回講談社漫画賞一般部門を受賞している。2014年から「モーニング」で連載してきた「ランド」は2020年9月に完結している。

開場時間は12時から19時(土・日曜日、祝日17時)まで。入場料は1000円。無休。入場に際してはマスク着用、検温などがある。時間指定有のチケット制で、定員制で1時間単位で入れ替えとなる。ライブポケット(https://t.livepocket.jp/t/te9i_)を通じて予約する。ただし、空きがあれば、当日入場できる場合もある。

インド、感染再拡大を懸念、シバ神祭りも州政府は厳重警戒(62)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2021年3月26日】3月13日現在、インド西部のマハラシュトラ州(Maharashtra、人口1億14000万人)の感染が再拡大しており、新規数は1万5817人と急増、累計228万人(死者5万2723人)で、実質陽性者も一時期10万人台以下に落ちたのに、16万人と再上昇、懸念される状況だ。

息子こと、Rapper Big Deal(左から2人目)は、パンデミックをものともせず、ラップスターとして旺盛に活動中、先般は州都で人数制限のライブショー、今は新作動画の撮影に飛び回っている。

公式発表では、変異株によるものでなく、人々の警戒心の緩みを原因にあげている。が、インド全体(累計1130万人、実質30万人、死者15万8000人)も新規数2万人台(2万4882人)に上がり、今後の推移が危惧される。

一方、ワースト2位で第3波中だったケララ州(Kerala、累計109万人、新規数1780人、実質4万人、死者4369人)は、減少傾向、しかし、3位以降のカルナータカ(Karnataka、累計95万8000人、新規833人)、アンドラプラデシュ(Andhra Pradesh、累計89万1000人、新規210人)、タミルナドゥ(Tamil Nadu、累計85万8000人、新規670人)とも若干増加、他にパンジャブ(Punjab)、グジャラート(Gujarat)も増えている。

なお、世界では、変異株が急再拡大しているブラジル(累計1140万人、新規数8万5663人、死者27万5000人)が、インドを抜いて2位に帰り咲いた。ここ10日ほどこの分では、インドを抜くなと注視していたが、予想以上に早かった。

トップは、依然アメリカ(累計2940万人、新規数6万4177人、死者53万2000人)だが、致死率では、ブラジルの方が上回る。イギリスの対人口比死者数も高い(累計425万人、新規6609人、死者12万5000人)。

当オディシャ州(Odisha、人口4600万人)は、ぶり返し州からの旅行者を警戒、空港では検疫強化中だが、列車で訪れる旅客は、監視が万全に行き届かず、野放し同然になっているようだ。他州からの入域者がウイルスを持ち込んでの再拡大が危惧される。

現状では、実質651人(累計35万8000人余、死者1918人)、新規数64人と、未だ抑制下にあり、当地プリー(Puri)はほぼ正常化、マスク派は僅少だ。

そこのけ、そこのけ、お牛様が通る。インドでは、牛は神さま、コロナどこ吹く風で、悠々と我が物顔に路地を行く。

インド全土のワクチン回数は、2820万回に達したが(アメリカの9820万回、中国の5266万回に次いで3位)、英アストラゼネカ(Astrazeneca)製のワクチンが血栓などの副作用で一部のヨーロッパで接種中断されていることが、今後インドにどう影響を及ぼすかが懸念される。

米ファイザー(Pfizer)製のワクチンは、変異株にも効くというが、インドで用いられているのは、アストラゼネカ製のコビシールド(Covishield)と、国産のバーラト・バイオテック社(Bharat Biotech)のコバキシン(Covaxin)だ。

12日に行われた日米豪印のオンライン首脳会談(クアッド=Quad、4カ国戦略対話)では、インドが他3カ国の支援のもとに来年末までに100億回分のワクチンを製造するとの取り決めがなされたが、中国を牽制する意図があることはいうまでもない。同4カ国は、定期的に合同軍事演習も行っており、昨年11月には、ベンガル(Bengal)湾のマラバール(Malabar)海岸で日本の海上自衛隊も参加しての共同訓練が実施された。

インド政府は、中国との国境地帯での小競り合いの平和的解決に向けて話し合いを進めているが、昨年6月、45年ぶりに兵士に死者が出ただけに、事態収拾は容易でないようだ。インド側としても、中国は商取引上欠かせない存在で、両大国の経済的利害の大きさからも、下手に刺激はしたくなく、バランスを取るのが難しいところ。いずれにしろ、パンデミック(世界的流行)下、無用な争いは極力避けたいところだが、中国の軍事行動加速化には抜け目なく、目を光らせている。

さて、私個人は、インドでワクチンを受けるつもりはないが、なぜかと言うと、副作用のみならず、感染リスクもあるからだ。医療インフラが脆弱な田舎州なので、PCR検査の間違いも稀でない。

つい最近も、検査ミスが発覚し、教育機関でのクラスター(感染者集団)は、間違いだったことが発覚したばかりだ。PCR検査そのものが100%正確とは言えないようだし、過去嫌というほど誤診体験があるだけに、現地の医療機関には極力、近づきたくない。

11日は、シバ神(Siva)のお祭りだったが、こういう宗教的行事になると、信者が大勢集まるため、州政府は厳重に警戒、人数制限や、マスク着用、ソーシャルディスタンス遵守の規制を改めて敷いた。

当ホテル街は、週末はローカル旅行者で賑わうが、一部の地域が第2・3波襲来で外出規制が敷かれていることから、今後の客足の鈍りが懸念される。ぶり返しが全土どこまで拡大するか、今しばらく、事態を静観することが必要のようだ。

★極私的動画レビュー/「イタリアガイドみめ」の観光案内

もっぱら動画にハマっている昨今、ドラマや映画のみならず、旅・食関連から占いまで、アトランダムに楽しんでいる。さて、今回は、イタリアのフィレンツェ(Firenze)で20年ガイドに携わる日本女性の観光並びにコロナルポをご紹介したい。

その名も片庭みめさんは、イタリア男性と結婚した一女の母だが、日本人御用達のガイド歴20年の現地語ペラペラのベテランでもある。パンデミック下イタリアの観光産業が大打撃を食らっているのはいうまでもないが、みめさんはめげずに、お洒落なラメ入り布マスクと、イタリア仕込みのファッションで、観光客のいない閑散とした花の都、フローレンス(Florence)をライブでツアーガイドする。

ライブは1時間以上と長いので(20分前後の短めの編集動画もあり)、イタリアに行ったことがあるか、興味のある人でないと、疲れるかもしれないが、有名観光地の店が閉まって閑散とした様子を生で知るには貴重だ。

現在、フィレンツェは変異株の拡大で再ロックダウン(都市封鎖)、死者もイタリア全土で10万人を超えている。ガイド業も上がったりだろうが、愛嬌ある茶目っ気たっぷりに、オンラインで視聴者をバーチャルツアーへといざなってくれる。

ちなみに、私は学生時代ヨーロッパ一周ツアーの一環で、イタリアを訪れたことがあり、美しい花の都・フローレンスはとても気に入って、留学したいと焦がれたほどだった。ウフィツィ美術館(Galleria degli Uffizi)や、アルノ河(Arno)にかかる屋根付き橋、ポンテベッキオ(Ponte Vecchio)をそぞろ歩きながら、大きなソフトクリームを舐めたことが今も、思い出に残っている。

もし、フィレンツェに留学していたなら、イタリア男性と結婚していたこともありえ、パラレルワールドのもう1人の自分を見る思い、ただガイドではなく、情報発信のフリーランスに携わっていたと思うが。フィレンツェはそんな、我が青春のアルカディア(Arcadia、理想郷)、なのである。

後年インドで民宿を経営するようになって、フローレンス在住という若い日本女性が泊まったことがあったが、「きれいすぎると、飽きる」と漏らしていたことが印象に残っている。毎日見てると、あまりに美しすぎて飽きるというのは、何となく納得がいった。その点、インドは清濁併せ飲む混沌さ、エキサイティングで面白いかもしれない。

現実には、30年以上も居座ると、辟易するくらいうんざり、飽きるを通り越しているのだけど。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は2020年3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

2021年3月16日現在、世界の感染者数は1億2024万6451人、死亡者数が266万1194人、回復者が6820万0139人です。インドは感染者数が1140万9831人、死亡者数が15万8856人、回復者が1102万7543人、アメリカ、ブラジルに次いで3位になっています。

ちなみにアメリカの感染者数は2949万5420人、死亡者数が53万5628人(回復者は未公表)、ブラジルの感染者数は1151万9609人、死亡者数が27万9286人、回復者数が1019万5598人です。日本は感染者数が44万9318人、死亡者数が8645人、回復者が42万7345人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。インドの州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは2020年3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は2020年5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています。編集注は筆者と関係ありません)。

日本橋三越で76回春院展、吉村佳洋、永吉秀司、平林貴宏ら

【銀座新聞ニュース=2021年3月24日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は3月24日から4月5日まで本館7階催物会場で「第76回春の院展」を開いている。

4月5日まで開かれる「第76回春の院展」で、全作品集の表紙に採用されている日本美術院同人で創価大学教授の清水由朗さんの「葡萄(ぶどう)」。

第76回春の院展は、「日本美術院春季展賞(郁夫賞)」が1964年大阪府生まれ、1988年愛知県立芸術大学美術学部絵画科専攻(日本画)卒業、1990年同大学大学院美術研究科修士課程日本画専攻修了、愛知県立芸術大学准教授、日本美術院特待の吉村佳洋(よしひろ)さんの「序奏」、「日本美術院春季展賞」が1972年愛知県生まれ、1995年東京芸術大学美術学部日本画学科卒業、1997年同大学大学院絵画研究科日本画専攻修了、新潟大学教育学部芸術環境講座日本画研究室准教授、日本美術院院友の永吉秀司さんの「彼岸の雫」が選ばれている。

外務大臣賞(奨励賞も)が1979年秋田県生まれ、2004年愛知県立芸術大学美術学部美術学科日本画専攻卒業、2006年同大学大学院美術研究科日本画専攻修了、2007年同大学大学院美術研究科日本画専攻研修課程修了、日本美術院院友の平林貴宏さんの「ユナシリタの予型」が選ばれている。奨励賞は平林貴宏さん、岩永てるみさんの「water world(ウォーターワールド)」など14人(2020年は12人)が選ばれている。

今回は応募点数が701点(2020年725点)、入選点数が309点(同308点)、同人の出品点数が33点(同35点)、「第76回春の院展」への出品点数が342点(同343点)としている。

入選点数の内訳は招待が5点(同4点)、無鑑査10点(同13点)、一般294点(同291点)、うち初入選が33点(同34点)となっている。

また、初入選の作家コーナーを会場中央(このコーナーだけ無料)に設けるとともに、日本美術院代表理事で、日本芸術院会員の那波多目功一(なばため・こういち)さんが1975年の第30回春の院展で入選した「座す」を特別展示する。

ウイキペディアによると、「日本美術院」は1898年に岡倉天心(おかくら・てんしん、1863-1913)が東京美術学校を排斥されて学校長を辞職した際に、自主的に連座して辞職した横山大観(よこやま・たいかん、1868-1958)らが岡倉天心の計画する美術研究の構想に賛同し、同年7月に美術研究団体としての 「日本美術院」を東京・谷中大泉寺(谷中初音町)にて結成したのがはじまりとされている(1952年に東京都の文化史蹟に指定され、現在、岡倉天心記念公園として岡倉天心先生旧宅趾・日本美術院発祥之地碑が建てられている)。

同年10月に落成開院した日本美術院は日本絵画協会と連合して「日本美術院展覧会(院展)」を開いた。以後、日本絵画協会と合同で春秋2回、絵画展覧会を開くも、1900年秋季の展覧会が最盛期で、以後、資金の欠乏、院の内紛、綱紀の乱れなどが原因で徐々に沈滞するようになった。

1905年に茨城県・五浦海岸へ別荘(六角堂)を建設した岡倉天心は、 1906年に第1部(絵画)と第2部(彫刻)を改組し、第1部を五浦海岸へ移転させるが、当時、岡倉天心はフェノロサ(Ernest Francisco Fenollosa、1853-1908)の紹介でボストン美術館中国・日本美術部に入っており、五浦とボストンを往復するうちに日本美術院への興味を失っていった。また、第2部は国宝修理も行うことから1914年に「美術院」と改称し、1965年に「財団法人美術院」となり、2013年に「公益財団法人美術院」となった。

1910年に岡倉天心がボストン美術館中国・日本美術部長として渡米すると、日本美術院は事実上の解散状態となった。1914年に文展(文部省美術展覧会)に不満を持つ横山大観や下村観山(しもむら・かんざん、1873-1930)らは、1913年に岡倉天心が没したことを契機に、その意志を引き継ぎ、谷中上三崎南町に研究所を建設し(現在公益財団法人「日本美術院」がある)、日本美術院を再興した。

現在、日本を代表する日本画の美術団体として活動を継続している。日本美術院には日本画のほかに洋画部(1920年9月に脱退)と彫刻部(のち「彫塑部」と改称し、1961年2月に解散)も加わったが、現在は日本画のみになっている。

日本美術院展覧会(院展)は、1914年10月に日本橋三越旧館で「日本美術院再興記念展覧会」を開き、これが現在、東京都美術館で9月に開かれている日本美術院展覧会(院展)の第1回展にあたり、1944年、1945年を除き、毎年秋に開催されてきた。

日本美術院展覧会を開催できなかった1945年11月に「日本美術院小品展覧会」が日本橋三越で開かれ、こちらは第2回展から毎年春に開かれることになり、1959年に「日本美術院春季展覧会」と改称され、1970年からは「春の院展」として現在まで毎年開かれている。1958年5月に日本美術院は財団法人化され、2011年4月に公益財団法人化され、2014年に再興100周年を迎えた。

春の院展は毎年4月上旬(年度により3月下旬の場合も)より日本橋三越本店にて約2週間開かれるのを皮切りに、約4カ月かけて全国10カ所弱を巡回する。同展覧会の前身が習作展・試作展・小品展であることから、秋に行われる再興院展よりも出品サイズが小さく、特に同人作家にとっては実験的な作品を発表する場として位置づけられている。

規定サイズは縦型(外装込)が150センチ×75センチ以内、自由形(外装込)が106センチ×106センチ以内となっている。主な賞としては、外務大臣賞、春季展賞、奨励賞がある。

時間は10時から18時30分(最終日は17時30分)。入場料は一般800円、大学生・高校生600円、中学生以下は無料。また、本館6階の美術特選画廊で同じ期間で開催中の「日本美術院同人小品展」は無料で鑑賞できる。。