【銀座新聞ニュース=2012年2月28日】丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は3月1日から3月7日まで1階と地下1階で「第3回世界の万年筆展-持つうれしさ・書く楽しさ」を開催する。
丸善・日本橋店が全面改装開店して以来、3周年が経つのを記念して2010年から開いているイベントで、世界各国の名前の知られているブランドから国内の手づくり万年筆まで世界の万年筆を展示販売する。
今回、出品されるのは1937年に発売された「オノト万年筆」の「オノトマグナ」の復刻版(50本限定)や、「セーラー万年筆」の「プロフェッシャルギアスリム」、「パイロット万年筆」の「シルバーン朱鷺(とき)」など。イタリアの万年筆メーカー「アウロラ」のボールペン「イプシロンシルバーB34スペシャル」も販売する。
ウイキペディアによると、「万年筆」は1809年にイギリス人がペン軸にインクを貯蔵するペンを発明し、特許を取得したのが最初とされ、1883年にアメリカの保険外交員ルイス・エドソン・ウォーターマン(Lewis Edson Waterman、1837-1901)が、調書にインクの染みを作ってしまい、契約を取り逃がしたことをきっかけとして、毛細管現象を応用したペン芯を発明したことが万年筆の基となった。
万年筆が日本に入ってきたのは1884年で、横浜のバンダイン商会が輸入し、東京日本橋の丸善などで販売された。当時は「針先泉筆」と呼ばれ、「万年筆」と命名したのは、1884年に日本初の国産万年筆を模作した時計商の大野徳三郎(おおの・とくさぶろう、生没年不詳)と言われている。戦前は日本の万年筆製造が盛んで、1940年には世界生産量の50パーセントを日本で生産していたといわれている。
万年筆はペンとともに1960年代頃まで、手紙やはがき、公文書などを書くための筆記具として主流であったが、徐々にボールペンに取って代わられ、1970年代に公文書へのボールペンの使用が可能になり、また水性ボールペンが開発されたことにより、万年筆は事務用、実用筆記具としては利用されなくなっている。
1階催事フロアでは11時から19時まで「手作り万年筆の大橋堂」(宮城県仙台市青葉区中央3-8-5、新仙台駅前ビル1008、022-266-2332)が手作り万年筆の実演販売をする。2月24日からフランスの万年筆メーカー「エス・テー・デュポン」が140周年記念フェアを開いている。
3月1日から3月3日まで11時から19時まで「プラチナ万年筆」(台東区東上野2-5-10)の子会社「中屋万年筆」(台東区東上野2-5-16、岩原ビル2階)が手作り万年筆の実演販売をする。
3月4日から3月6日まで11時から19時まで「セーラー万年筆」(江東区毛利2-10-18、03-3846-2651)のインクブレンダーで入社以来30年以上経つ、石丸治(いしまる・おさむ)さんがインクの調合の実演販売をする
地下1階特別催事場では、「サンライズ貿易」(千代田区岩本町2-13-6、第3ミツボシビル、03-5833-7701)の内田成一(うちだ・せいいち)さんと前沢正俊(まえさわ・まさとし)さん、「ペリカン日本」(台東区上野1-1-12、03-3836-6541)の山本英昭(やまもと・ひであき)さんが「万年筆に関わる相談」を受け付ける。
3月1日11時から19時まで「パイロット」(中央区京橋2-6-21、03-3538-37)が万年筆組立て教室を開く。
3月2日と3月3日は11時から18時まで「セーラー万年筆」、3月4日と3月5日は11時から19時まで「パイロット」、3月6日と3月7日は11時から19時まで「サンライズ貿易」がそれぞれペンクリニックを開く。
3階ギャラリーでは会期中、「アート・オブ・レタリング(The Art Of Lettering)カリグラフィー作品展」を開く。
「カリグラフィー」作家の鈴木泰子(すずき・たいこ)さん、相田英子(あいだ・えいこ)さん、砂賀音智子(さがね・ともこ)さんらが「アルファベット」を手書きしながら、言葉をビジュアルに表現するカリグラフィー作品を展示する。
「カリグラフィー」とはギリシャ語の「calli(カリー、美しい)」と「graphein(グラフィン、書くこと)」に由来する言葉で、16世紀から17世紀に生まれた手書きの文字のことだ。日本では「西洋書道」と訳され、日本の書道と同じく文字を美しく見せるための手法だが、筆記にペンまたはそれに類する道具を用いているため、毛筆の書道とは表現されたものが大きく異なる。
1文字ずつ手書きで書かれているため、書体の種類は数100の単位もあるが、その区分も明確でなく、代表的なものにはゴシック体、アンシャル体、イタリック体などがある。
ウイキペディアによると、カリグラフィーの起源は、1世紀後半から2世紀にかけての古代ローマにおける碑文、特にトラヤヌス帝(Marcus Ulpius Nerva Trajanus、53-117)が建立した石碑の文字とされ、当時のアルファベットには小文字はなく、文章はすべて大文字でつづられていた。「キャピタル・モニュメンタリス」と呼ばれるこの文字は、現代に至る活字書体の原型であり、また手書き書体の規範とされた。
一方で、2世紀から3世紀ころに、ギリシャ語の書体をもとにローマ字体にした「アンシャル体」が、主にキリスト教の文書に使われるようになり、これが現在の小文字の起源とされている。「アンシャル体」をもとにして、「ハーフアンシャル体」が生まれ、その後、6世紀後半にはフランク王国で「カロリング小文字体」が生まれ、現在、使われている小文字の形は、ほとんどこの書体が基本となっている。
3月6日11時から15時まで「万年筆で書くアルファベットメッセージ」を開く。講師は鈴木泰子さん、相田英子さん、砂賀音智子さんの3人で、アルファベットのメッセージや名前を独特の書き方でデザインする。参加は無料。
開場時間は9時30分から20時30分まで。入場は無料。