丸善丸の内で片岡球子版画展、東山魁夷、加山又造らも

【銀座新聞ニュース=2018年1月25日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は1月26日から2月6日まで4階ギャラリーで「ほとばしるエネルギー-片岡球子版画展」を開く。

丸善・丸の内本店で1月26日から2月6日まで開かれる「ほとばしるエネルギー-片岡球子版画展」に出品される片岡球子の「松と赤冨士」(リトグラフ、1997年)。

毎年、丸善・丸の内本店で1月に開く、日本画家で「帝展」や「院展」にたびたび落選し「落選の神様」とまでいわれながら、強烈な色彩とデフォルメで独自の画風を貫いた片岡球子(かたおか・たまこ、1905-2008)の版画作品展で、同時に日本を代表する画家の版画も展示販売する。

片岡球子以外に出品されるのは、日本の風景画家で「国民的画家」として知られる東山魁夷(ひがしやま・かいい、1908-1999)、日本画の伝統的な様式美を現代的な感覚で表現した加山又造(かやま・またぞう、1927-2004)、女性画や静物を生き生きと描いた小倉遊亀(おぐら・ゆき、1895-2000)、上村松篁(うえむら・しょうこう、1902-2001)の子息で、花鳥画の第一人者として知られる元京都市立美術大学副学長の上村淳之(うえむら・あつし)さん。

日本画家で京都造形芸術大学元学長の千住博(せんじゅ・ひろし)さん、ヨーロッパで学んだ油彩画に、桃山美術や琳派、南画といった日本の伝統的な美術を取り入れ、装飾的な世界で知られた洋画家の梅原龍三郎(うめはら・りゅうざぶろう、1888-1986)、バラの絵で知られる洋画家、中川一政(なかがわ・かずまさ、1893-1991)、孤高の洋画家で自宅の虫や花を描き続けた熊谷守一(くまがい・もりかず、1880-1977)ら。

ウイキペディアなどによると、片岡球子は1905年北海道札幌市生まれ、1926年に女子美術専門学校(現女子美術大学)日本画科高等科を卒業、神奈川県立横浜市大岡尋常高等小学校教諭を勤めながら創作し、「帝国美術院展覧会」(帝展)に3回落選し、1930年に「日本美術院展」(院展)に初入選、1933年にも入選したが、その後は落選が続いた。

1939年から院展の入選が続き、1955年に大岡小学校を退職、女子美術大学日本画科専任講師に就任、1960年に同大学助教授、1965年に同大学教授、1966年に愛知県立芸術大学日本画科主任教授、1973年より同大学客員教授を務めた。1976年に勲三等瑞宝章を受章、1982年に日本芸術院会員、1989年に文化勲章を受章、100歳を超え、脳梗塞に倒れ、療養に努めたが、2008年に103歳で亡くなった。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。入場は無料。

立川銀座で高橋修一郎ら我流毛筆会展、石巻の子供も

【銀座新聞ニュース=2018年1月25日】ブラインドの最大手、立川ブラインド工業(港区三田3-1-12、03-5484-6100)は1月23日から2月4日まで銀座ショールーム(中央区銀座 8-8-15、03-3571-1373)地下1階「タチカワ銀座スペースAtte」で「我流毛筆の会」による「書展2018」を開いている。

立川ブラインドが2月4日まで銀座ショールーム「タチカワ銀座スペースオッテ(Atte)」で開いている「我流毛筆の会」による「書展2018」。画像は展示する作品を自ら選んでいる大沼礼子さん。

映像作家で書家、元電通映画社(現電通テック)CMディレクターの高橋修一郎(たかはし・しゅういちろう)さんが主宰する「我流毛筆の会」(港区六本木5-11-28)の会員7人が約40点の書を展示している。また、2011年より毎年支援している宮城県石巻市周辺の子どもたちの書も10点展示している。

今回、出品しているのは、高橋修一郎さんのほか、浅里(あさり)まゆみさん、大沼礼子(おおぬま・れいこ)さん、佐野成子(さの・しげこ)さん、志賀(しが)あやなさん、浜村基光(はまむら・もとみつ)さん、本沢賢太郎(ほんさわ・けんたろう)さんで、大きな画仙紙に、墨と筆で書いた「我流の書」を描いている。

「我流毛筆の会」は疋田寛吉(ひきだ・かんきち、1923-1997)が団体に所属しない在野の書家たちの書を考え、持論にもとづいてはじめた会で、1997年に疋田寛吉が逝去した後に一旦解散し、2004年から再開した。

2006年から「我流毛筆の会」の会員によるグループ展を開いており、2011年から東浜小学校(宮城県石巻市牧浜字竹浜道22-2、0225-90-2024)、戸倉小学校(宮城県本吉郡南三陸町志津川字城場41、志津川小学校内、0226-29-6145)や東松島仮設住宅(宮城県松島市大塩字緑ケ丘4丁目)の子どもたちが参加している。

会員は「手本を持たず、師をもたず、模すことを拝し、ただひたすら自分の『書』を書き続けながら、自分との対話の中で自分の『書』をみつける。上手でなくても良い 。自分なりのいい『書』を書きたい」と思っている。

開場時間は10時から18時(最終日は15時)で、入場は無料。月曜日は休み。

注:「本沢賢太郎」の「沢」は正しくは旧漢字です。

マクロミル調査、バレンタイン本命予算12%減3687円、6割が百貨店で

【銀座新聞ニュース=2018年1月25日】マーケティングリサーチ事業などを主とするマクロミル(港区港南2-16-1、品川イーストワンタワー、03-6716-0700)はこのほど、「バレンタイン実態調査2018」を発表した。

銀座三越で2月14日までバレンタイン向けに販売中のベルギーのショコラティエ、マレーン・クーチャンス(Marijn Coertjens)さんが考案した「ショコラアソート」(6個入り税別2400円)。

調査はインターネットリサーチ方式で全国20歳から49歳の会社員、公務員の男女(マクロミルモニタ会員)を対象に、1月12日から13日の2日間に実施し、計1000サンプル(男性669人、女性331人)を集めた。

それによると、女性のチョコ購入予定者は85.2%(2017年80.2%)と前年よりも5ポイント増え、男性の購入者は22.3%(23.4%)とほぼ横ばいになっている。女性の贈る相手は本命が65.6%(58.4%)、自分へのごほうびが46.5%(51.8%)、家族が41.8%(31.8%)、義理チョコが37.2%(26.8%)と本命向けが増えたのに対して、自分へのごほうびなどが減少した。

また、平均予算は3687円(4195円)と前年よりも12.1%減となっている。購入先(前年は質問にない)は百貨店が60.6%、スーパー、コンビニが24.6%、手作りが20.9%、オンラインショップが14.4%、スイーツ専門店(路面店)が9.7%、チョコ専門店(路面店)9.0%となった。

娘からアイデアを得て「タラレバ」を具現化した「ストーム」(230)

【ケイシーの映画冗報=2018年1月25日】かなり以前のことですが、ある映像作品のお手伝いをさせていただいたことがあります。そのとき、作品には反映されなかったのですが、「気象破壊兵器」という提案がありました。「地球上の気象をコントロールして豪雨や干ばつを起こし、敵国を屈伏させる」といった事物でした。なにぶん過去のことなので、記憶のみで記していることをお断りしておきます。

現在、一般公開中の「ジオ・ストーム」((C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., SKYDANCE PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC)。制作費が1億2000万ドル(約120億円)で、興行収入が世界で2億841万ドル(約208億4100万円)。

本作「ジオ・ストーム」は、この「気象破壊兵器」に似たコンセプトの巨大システムによって人類が危機にさらされるという、ディザスター(災害)映画です。

2019年、地球規模で発生した異常気象を鎮静化するために、各国が協力して建造した国際気象宇宙ステーション(ISS)を基地として、無数の人工衛星を使って気象災害を防ぐ“ダッジ・ボーイ”というシステムを構築し、被害をくい止めます。

システムの開発責任者であったジェイク(演じるのはジェラルド・バトラー=Gerard Butler)は優秀なエンジニアですが「やりすぎ」てしまうクセがあることから軋轢(あつれき)を生んでしまい、“ダッジ・ボーイ”のプロジェクトから外されてしまいます。後任となったのは実の弟であるマックス(演じるのはジム・スタージェス=Jim Sturgess)でした。

2022年、アフガニスタンの村が氷結するという事件が発生します。“ダッジ・ボーイ”の不具合を予想したマックスは、システムに精通しているジェイクをISSに送り込みます。

ISSの司令官であるウーテ(演じるのはアレクサンドラ・マリア・ララ=Alexandra Maria Lara)と協力して“ダッジ・ボーイ”のシステムを修正しようとするジェイクですが、トラブルは続いて発生し、ついにはジェイク自身も生命の危険に直面してしまいます。

一方の地球では、マックスがアメリカの政府中枢に“ダッジ・ボーイ”でのトラブルに関わる、巨大な陰謀があることを知ります。宇宙と地上で危険に直面するジェイクとマックス。やがて事態は最悪のジオ・ストーム(地球規模の同時多発災害)へとなだれ込んでいくのでした。

監督・脚本(共同)のディーン・デブリン(Dean Devlin)は、俳優業から脚本家へとシフトしていった人物で、地球を侵略する宇宙人に世界が一体となって反撃するSF映画「インデペンデス・デイ」(Independence Day、1996年)や最初に作られたハリウッド版の「GODZILLA(ゴジラ)」(1998年)の脚本で知られるようになりました。ハリウッドでは30年以上のキャリアを持つデブリンですが、本作がはじめての長編映画の監督となっています。

デブリン監督によれば、本作のアイディアの源泉は、 6歳(当時)のお嬢さんから発せられた、天候に対する問いかけだったとのこと。
「どうして悪いところを直す機械をつくれないの?」

そこから急激な気象変動を制御する機械の発想と、その機械が制御不能となるストーリーが生まれたそうです。

じつは、天候をコントロールするという発想は決して新しいものではありません。日本では宮沢賢治(みやざわ・けんじ、1896-1933)は、現在でいう地球温暖化を人為的になすべきだと考えていたことが、手がけた作品などから指摘されています。

少し前に取り上げた「不都合な真実2 放置された地球」では、人類と地球環境に危険をもたらす深刻な問題として扱われている地球温暖化ですが、賢治は肯定的だったそうです。北国出身で農業に関心の強かった賢治にとって、温暖な気候をつくりだすことは、冷害への対応策だったのかもしれません。

また、アメリカではフロリダ州がタイフーンで大きな被害を受けることから、かつて、核兵器を使ってタイフーンを消滅させることが検討されたそうですが、実現不可能な大威力の原子爆弾が必要になると計算されたことで、この発案は立ち消えとなったそうです。

そして、地球は温暖な気候と氷河期を長い時間をかけて繰り返しているのです。人の一生など、地球の歴史から見れば一瞬ですし、地球そのものをわずかではありますが、着実に変化しています。

本作の災害シーンのように、海が一瞬で凍りついたり、地面が地熱で膨張し、地震のように崩れるといったことは、映画的誇張であって、実際にはありえないでしょうが、長期的なスパンで見れば、環境の変化による危険な状況は想像できるはずです。

「楽しくてワイルドなSF版“タラレバ”体験になるだろう」(パンフレットより)というデブリン監督のコメントは別な視点からの「環境への警告」かもしれません。次回も未定とさせていただきます(敬称略。【ケイシーの映画冗報】は映画通のケイシーさんが映画をテーマにして自由に書きます。時には最新作の紹介になることや、過去の作品に言及することもあります。当分の間、隔週木曜日に掲載します。また、画像の説明、編集注は著者と関係ありません。なお、ケイシーさんは現在、自宅療養中で、こんごの予定は未定になっています)。

シャネルでF・ホーヴァット「女性」展

【銀座新聞ニュース=2018年1月24日】フランスの総合ファッション企業「シャネル」の日本法人、シャネル株式会社(中央区銀座3-5-3、シャネル銀座ビルディング)は1月17日から2月18日まで4階シャネル・ネクサス・ホールでフランク・ホーヴァットさんによる写真展「Un moment d’une femme」を開いている。

2月18日までシャネル・ネクサス・ホールで開かれているフランク・ホーヴァットさんの写真展「アン・モマン・デュニュ・ファム(Un moment d’une femme)」に展示されている作品「クワ・デュ・ルーブル・カップル(Quai du Louvre,couple)」(1955年、フランス・パリ、(C)Frank Horvat)。ルーブル美術館の側の岸壁でキスしている二人を真上から撮影するという珍しいアングルだ。

イタリア出身の写真家、フランク・ホーヴァット(Frank Horvat)さんは1940年代にフォトジャーナリズムに触発された写真家として活動をはじめ、そのアプローチは人間主義的な視点を踏襲するもので、パキスタンやインド、英国と世界中を渡り歩きながら「パリ・マッチ」や「ピクチャー・ポスト」などの雑誌に寄稿し、1955年にはニューヨーク近代美術館で開かれた展覧会「ザ・ファミリー・オブ・マン(人間家族)」に選ばれている。

1950年代からファッション写真の表現に新風を吹き込み、1954年にフランス・パリに拠点を置き、ファッションの都と、ファッションをまとう女性たちに魅了され、モデルたちの突発的な、もしくは一風変わった配置や、たまたま居合わせた人物を被写体として取り込むなど、ルポルタージュ的な感覚を取り入れた斬新な表現を探求した。

また、女性を撮ることに虜(とりこ)となったその作品の主題は、衣服だけでなく、無防備でさりげない色気のある女性像へと向かい、世界でもっとも影響力のあるファッション写真家の1人となった。日本で本格的な初個展となる本展では「女性」を切り口に、代表作やジャーナリスティックな初期作、私的なプロジェクト作品などを展示している。

ファッション写真家の仕事は2015年発行の写真集「フランク・ホーヴァット(Frank Horvat):プリーズ・ドント・スマイル(Please don’t smile)」に見ることができ、人物や街、風景、彫刻をテーマにした写真集として2013年に「ハウス・ウイズ・15キー(house with fifteen keys)」を出版し、同名の回顧展を2014年にイタリア・セラヴェッツァ、フランス・ニース、2015年にドイツ・ベルリンで開いている。

ウイキペディアなどによると、フランク・ホーヴァットさんは1928年オパティヤ(当時はイタリア領、現クロアチア領)生まれ、第2次世界大戦中に家族とともにスイスに亡命し、戦争終了後、イタリアに戻り、1940年代半ばには写真の撮影をはじめ、1950年代初めからフリーの写真家として活躍し、報道系の写真からファッション系の写真へ重心を移し、「エル(Elle)」や「ヴォーグ」などに寄稿した。

1960年代に「ハーパース・バザー」へ移り、1970年代後半まで活躍した。1959年から1961年までは、マグナム・フォトのアソシエイトメンバー(associate member)でもあり、現在はフランスに在住している。

開場時間は12時から20時、入場は無料。期間中、無休。