【銀座新聞ニュース=2011年7月12日】ポーラ・オルビスホールディングス(中央区銀座1-7-7、ポーラ銀座ビル、03-3563-5517)は7月16日から9月11日までポーラミュージアムアネックス(ポーラ銀座ビル3階、03-3563-5501)で「香りをイメージする香水瓶展」を開催する。
20世紀はじめのフランスのエミール・ガレ(Charles Martin Emile Galle、1846?1904)やルネ・ラリック(Rene Lalique、1860-1945)らガラス工芸作家によるアール・ヌーボー期の作品から、1940年代のメーカーによるユニークなデザインのものなど、ボトルのモチーフや形状に着目した「植物」や「動物」、「身体表現」、「幾何学」といったカテゴリーに分類した香水瓶約100点を展示する。
会場では、フリーアナウンサーでアロマセラピストの大橋マキ(おおはし・まき)さんが調合したアロマ「コハク(kohaku)」を使って香りを演出する。
ウイキペディアによると、紀元前1850年頃に香水を製造していたとされる最古の工場跡地がギリシアで発掘されている。アルコールに溶かす香水が作られるようになったのは、イスラム社会でのアルコールの製造法がヨーロッパに伝えられてからという。
それまでは油脂に香りを吸着させた香油やポマードが使用されていた。14世紀にハンガリー王室で使用された、ローズマリーを原料としたものが利用され、その後、ルネサンス期のイタリアで発展し、ヨーロッパ各地に広まっていった。
16世紀から19世紀までのヨーロッパ(特にフランス)では、風呂に入ると梅毒などの病気になりやすいと信じられたため、入浴という行為が一般的でなく、そのため、香水は体臭消しとして発達していった。
東京都庭園美術館によると、香りは煙からはじまり、やがて花や草木の香りを絞って採取され、動物性の油脂に匂いを吸着させるなどして、液体や軟膏といった形で使われるようになった。そこで貯蔵するための「容器」が必要とされ、大理石などの石材を削りだしたものや、土器などが用いられた。
紀元前15世紀頃に当時の技術などを集大成させた「コアガラス製法」(粘度や獣ふんを芯にしてパテ状のガラスを巻き付けて冷まし、芯をかき出して形成するガラス製法)が生まれ、加工した装飾が施されるようになった。ガラス製法が発明されたことで装飾性と密閉性、無臭性を可能にし、香りを保存するのに適した容器が生まれた。
14世紀頃にペストの流行による疫病や悪霊を払うため、「香り」が「魔除け」の役割を果たすとされ、「ポマンダー」と呼ばれる金銀細工により作られた首からさげる小さな形体の内部に「練香」が入れられ、香りが「持ち運ばれる」ようになった。
これにより、次第に常に香りを身に付けるようになり、「魔除け」から香りそのものを楽しむようになり、18世紀になると「香水瓶」が誕生した。このころから、貴族階級の間で舞踏会が催されると、女性の必需品とされたのが化粧ケースで、気分が悪くなった際に嗅ぐための酢に塩を混ぜた気付け薬の瓶、毛抜き、小さなハサミや爪やすり、舌みがきの器具がセットになっていた。
当時、豪華な水晶を削ったものや宝飾が施されたものなどが現れ、マイセン窯やチェルシー窯などでつくられる陶磁器製の香水瓶が流行し、18世紀には、自然の中で男女が愛を語り合う牧歌的な風景や愛を象徴するキューピッドなどをモチーフにした香水瓶が人気になった。
18世紀末には香水店の基となる専門店が登場し、香水がヨーロッパ全土に流通し、パリだけで200を越える香水店が存在したという。香水は簡素な透明ガラス瓶にいれて販売され、それを職人に作らせた豪華な瓶に移し替えて使用された。
20世紀に入るとファッション界が香水の流行をリードし、ファッションデザイナー自らがデザインした香水瓶とともに発売されるようになり、自ら香水ブランドを立ち上げ、ファッションと香水の新たな関係を確立させたのがフランスのファッションデザイナー、ポール・ポワレ(Paul Poiret、1879-1944)という。
斬新なアイデアにより、ポール・ポワレを追随するファッションデザイナーに大きな影響を与え、ココ・シャネル(Coco Chanel、1883-1971)、エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli、1890-1973)、クリスチャン・ディオール(Christian Dior、1905-1957)らが次々と香水部門を設け、個性豊かなボトルデザインを発表してきた。
8月6日、8月26日の18時からポーラ化成工業横浜研究所スキンケア開発部 副主任研究員の佐藤孝(さとう・たかし)さんによるレモンの香りをベースにしたオリジナルの香水作り講座を開催する。各回とも定員が12人で、参加費は無料。希望者多数の場合は抽選となる。
希望者は往復はがきで返信用面に名前、住所、希望日時と参加人数(2人まで)を明記し、「ポーラ ミュージアム アネックス」(〒104-0061)まで申し込む。締め切りは7月23日と8月12日。
佐藤孝さんは1972年にポーラ化成工業横浜研究所に入社、約20年にわたってフレグランスの開発研究に携わり、2009年に専門知識なしにイメージ通りの調香ができる技術を提供する「調香方法」で特許を取得している。現在、日本フレグランス協会講師、フランス調香師協会会員、国際香りと文化の会会員。
開場時間は11時から20時。入場は無料。閉場時間が変更される可能性もあり、詳細は会場に問い合わせを。