丸善日本橋で美濃桃山陶展、荒川豊蔵が再現

【銀座新聞ニュース=2018年4月20日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は4月25日から5月1日まで3階ギャラリーで「数寄者の茶陶展」を開く。

丸善・日本橋店で4月25日から5月1日まで開かれる「数寄者の茶陶展」に出品される川喜田半泥子の「灰釉手捻り茶碗(はいゆうてひねりちゃわん)」(銘、水月)。

「楽焼」などの茶陶作品をはじめ、近・現代を代表する巨匠陶芸作家が制作した茶陶の作品、重要無形文化財保持者(人間国宝)の荒川豊蔵(あらかわ・とよぞう、1894-1985)や加藤唐九郎(かとう・とうくろう、1897-1985)らが魅せられ、制作の原点となった「美濃桃山陶(みのももやますえ)」の作品を展示する。

また、荒川豊蔵、加藤唐九郎のほかに出品されるのは、1960年に重要無形文化財保持者(人間国宝)の候補となるも辞退した板谷波山(いたや・はざん、1872-1963)、1955年に重要無形文化財保持者に指定されるも辞退した北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん、1883-1959)、加藤唐九郎の長男、岡部嶺男(おかべ・みねお、1919-1990)、元百五銀行頭取で、3人の人間国宝を支援した川喜田半泥子(かわきた・はんでいし、1878-1963)。

1956年に重要無形文化財保持者に認定された金重陶陽(かねしげ・とうよう、1896-1967)、1970年に重要無形文化財保持者に認定された三輪休和(みわ・きゅうわ、1895-1981)、1976年に重要無形文化財保持者に認定された中里無庵(なかざと・むあん、1895-1985)、文化勲章、重要無形文化財保持者、芸術院会員などへの推挙をすべて辞退した河井寛次郎(かわい・かんじろう、1890-1966)。

1961年に重要無形文化財保持者に認定された加藤土師萌(かとう・はじめ、1900-1968)、1986年に重要無形文化財保持者に認定された藤本能道(ふじもと・よしみち、1919-1992)、1989年に重要無形文化財保持者に認定された第13代今泉今右衛門(いまいずみ・いまえもん、1926-2001)、2001年に重要無形文化財保持者に認定された第14代酒井田柿右衛門(さかいだ・かきえもん、1934-2013)。

1955年に第1回重要無形文化財保持者に認定された浜田庄司(はまだ・しょうじ、1894-1978)、1993年に重要無形文化財保持者に認定された松井康成(まつい・こうせい1927-2003)、1995年に重要無形文化財保持者に認定された加藤卓男(かとう・たくお、1917-2005)、1985年に重要無形文化財保持者に認定された清水卯一(しみず・ういち、1926-2004)、、1985年に重要無形文化財保持者に認定された金城次郎(きんじょう・じろう、1912-2004)ら。

可児市(かにし)によると、美濃桃山陶とは安土桃山時代(1568年ころから1616年ころまで)、なかでも、豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし、1537-1598)が政権を握ったころ、志野焼に代表されるような、東濃地方で焼かれた陶器のことで、長い間、愛知県瀬戸市で焼かれたものと考えられ、「黄瀬戸」や「瀬戸黒」と呼ばれた。

中国やヨーロッパから陶磁器が入り、新しい文化との交流に触発され、安土桃山時代に岐阜県の美濃地方(現可児市久々利など)で新しく釉薬(ゆうやく)の掛かった焼き物が誕生し、わずか20年から30年の間しか焼かれなかったが、日本美術の転換期に開花し、当時の人々の美意識に変革をもたらしたとされている。

久々利大萱(くくりおおがや)で桃山時代の志野の窯跡を発見し、その再興に尽くしたのが人間国宝の荒川豊蔵で、そのきっかけとなったのが、名古屋の旧家所蔵の「志野筍茶碗」で、荒川豊蔵はこの茶碗を手にしたとき、底にこびりついた米粒ほどの赤い土に気づき、この赤土が瀬戸にないことから、志野は瀬戸で焼かれたという定説に疑問を持った。

多治見や可児の窯跡を調査し、久々利大萱で筍の絵のある志野の陶片を発見し、この発見は「日本の陶磁史を覆す大発見」といわれた。この発見から3年後の1930(昭和8)年、荒川豊蔵は39歳の時に大萱に窯を開き、以来、志野や瀬戸黒を再興することに半生を捧げた。

大窯は15世紀後半から造られ、地表をある程度掘りくぼめ、傾斜を利用しつつ床面を造り、粘土などで天井や壁を築いた窯跡で、以前の時代により製品を焼く温度が高くなり、釉薬をかけた多くの製品が焼かれた。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)まで。入場は無料。

注:「浜田庄司」の「浜」は正しくは旧漢字です。名詞は原則として現代漢字(剰余漢字)を使っています。

TOHO日比谷「ラプラス」桜井翔、広瀬すずら挨拶

【銀座新聞ニュース=2018年4月20日】阪急阪神東宝グループで、国内映画業界首位の東宝(千代田区有楽町1-2-2、03-3591-1221)は5月4日からTOHOシネマズ日比谷スクリーン12(千代田区有楽町1-1-3、東京宝塚ビル地下)で一般公開する「ラプラスの魔女」の初日に、桜井翔さん、広瀬すずさんらによる舞台あいさつを開く。

5月4日から一般公開される「ラプラスの魔女」(©2018「ラプラスの魔女」製作委員会)。

4日9時40分の回上映終了後と13時10分の回上映前に、監督の三池崇史(みいけ・たかし)さんをはじめ、泰鵬大学教授で地球化学専門家「青江修介」役の桜井翔(さくらい・しょう)さん、未来を予測できる「羽原円華」役の広瀬(ひろせ)すずさん、円華の兄「甘粕謙人」役の福士蒼汰(ふくし・そうた)さん、刑事「中岡祐二」役の玉木宏(たまき・ひろし)さん、元警察官で円華のボディーガード「武尾徹」役の高島政伸(たかしま・まさのぶ)さんが舞台に登場してあいさつする。

「ラプラスの魔女」は直木賞作家の東野圭吾(ひがしの・けいご)さんが書き下ろした同題名の小説で、2015年5月にカドカワ(KADOKAWA)より単行本化され、1カ月で28万部以上を販売し、2018年2月に文庫本化されている。

物語は妻と温泉地を訪れた初老男性が硫化水素中毒で死亡する事件が発生するところからはじまり、捜査を担当する刑事・中岡は妻による遺産目当ての計画殺人を疑うが、事件現場の調査を行った地球化学専門家・青江修介は、気象条件の安定しない屋外で計画を実行するのは不可能として事件性を否定する。

しかし数日後、被害者男性の知人が別の地方都市で硫化水素中毒により死亡する事故が起きる。新たな事故現場の調査に当たる青江だったが、やはり事件性は見受けられない。もし2つの事故を連続殺人事件と仮定するのであれば、犯人はその場所で起こる自然現象を正確に予測していたことになる。行き詰まる青江の前に謎の女・羽原円華が現われ、これから起こる自然現象を見事に言い当てる。彼女は事件の秘密を知る青年・甘粕謙人を探しており、青江に協力を頼む。

ウイキペディアなどによると、三池崇史さんは1960年大阪府八尾市生まれ、横浜放送映画専門学院(現日本映画学校)を卒業、1991年にVシネマ「突風!ミニパト隊」で監督デビュー、1995年に「新宿黒社会チャイナ・マフィア戦争」で初の劇場用オリジナル作品を手がけ、Vシネマ「極道恐怖大劇場 牛頭」をカンヌ国際映画祭に出品し、1996年に「極道戦国志 不動」でポルト国際映画祭審査員特別賞を受賞した。

2000年に「オーディション」でロッテルダム国際映画祭で国際批評家連盟賞とオランダジャーナリズム連盟賞、2002年に「カタクリ家の幸福」でジェルミナーレ国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞などを受賞している。2011年に「忍たま乱太郎」、2012年に「愛と誠」や「悪の教典」など、2013年に「藁の楯 わらのたて」、2014年に「土竜の唄 潜入捜査官 レイジ(REIJI)」、2015年に「風に立つライオン」、2016年に「土竜の唄 香港狂騒曲」などを手がけている。

チケットははがきによる応募・抽選(9時40分の回50席) とチケットぴあを通じて、の抽選販売がある。はがきによる応募は、はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、チケット購入希望枚数(最大2枚)を記入して、(〒100‐8698 日本郵便(株)銀座郵便局JPタワー内分室、私書箱2404号、東宝宣伝部「ラプラスの魔女」公開記念舞台挨拶チケット購入係)まで送る。25日必着。料金は全席指定で一般1800円、大学生・専門学校生1500円、高校生、3歳以上中学生、障がい者が1000円、シニア1100円。

チケットぴあを通じて、抽選販売を発売中で、5月1日11時締め切り。料金は全席指定で一般2000円、大学生・専門学校生1700円、高校生、3歳以上中学生、障がい者が1200円、シニア1300円。

注:「桜井翔」の「桜」と「高島政伸」の「島」は正しくは旧漢字です。名詞は原則として現代漢字(常用漢字)を使用しています。

制作陣が子供心で取り組んだ「アップライジング」(236)

【ケイシーの映画冗報=2018年4月19日】当コラム3月22日付の「シェイプ・オブ・ウォーター」(The Shape of Water 2017年)の監督ギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)が手がけた「パシフィック・リム」(Pacific Rim、2013年)は、巨大ロボット対巨大カイジュウ(KAIJU)という、日本のアニメ、ヒーロー作品を色濃く反映した仕上がりによって、大ヒットを記録しました。

一般公開中の「パシフィック・リム:アップライジング」((C)Legendary Pictures/Universal Pictures.)。

さっそく続編の企画が動くのですが、紆余曲折を経て、デル・トロ監督は「シェイプ」に集中するため、続編の監督を降板してしまいます。デル・トロ監督のサブ・カルチャーへの愛情が、前作の原動力となっていることは明白だったので、監督交代は残念に感じていました。

バトンを受け取ったスティーブン・S・デナイト(Steven S.DeKnight)はテレビドラマ出身、映画はこれがデビュー作ということで、少々の不安も感じましたが、デナイト監督も生粋のマニア監督であり、本作「アップライジング」の仕上がりもみごとでした。

太平洋の裂け目から出現する巨大な“カイジュウ”を、人類が巨大なヒト型ロボット“イェーガー”(ドイツ語で狩人)で迎え撃ち、一応の平穏を得ておよそ10年。かつてPPDC(環太平洋防衛軍)のエース・パイロットであったジェイク(演じるのはジョン・ボイエガ=John Boyega)は、父親が高名な司令官であったことのプレッシャーから部隊をはなれ、現在では遺物をあさって生活するようになっていました。

そんなジェイクは、たったひとりで違法な小型イェーガーを組み上げた少女アマーラ(演じるのはケイリー・スピーニー=Cailee Spaeny)とともに、身柄をPPDCに拘束されてしまいます。罪を償うため、ジェイクはかつての同僚であったイェーガーのパイロットを育てるネイト(演じるのはスコット・イーストウッド=Scott Eastwood)の補佐として、アマーラはパイロット候補生としてPPDCで活動するようになります。

カイジュウとの「次の決戦」に備えるPPDCでは、無人で活動する次世代モデルの実用化を進めていました。その発表のイベントで“無人イェーガー”が一斉に反乱を起こし、PPDCの施設を破壊するとともに、史上最大のカイジュウを出現させました。カイジュがめざすのは日本列島の富士山です。残されたわずかな4機のイェーガーと未熟なパイロットたちと最終決戦に赴くジェイク。東京を戦場に人類の存亡をかけた決戦がはじまるのでした。

前作では暗めのトーンで全編が統一されていた(デル・トロ監督の嗜好と思われます)のに対し、本作は陽光がきらめくシーンが盛り込まれています。じつは、こうした特撮やCGを駆使した作品は、画面を暗めにして、事物のディティールを抑えるほうが、リアル感を高めることに直結するため、巨大な事物を出すには、夜や雨のシーンに設定することが少なくありません。

デナイト監督はあえて、むずかしい状況でのカイジュウやイェーガーを活躍させたそうです。
「同じことをやるとデル・トロ監督にはかなわないからね。細部まで作り込まないといけないので、自分にとっても、視覚効果担当にとっても大きなチャレンジだったよ」(4月11日付読売新聞夕刊)

最終決戦の地が東京、そして富士山になったのもデナイト監督の発想で、「日本の怪獣映画や特撮ドラマが大好きで、東京がめちゃくちゃなるのを何度も見てきたんだ。映画監督になった時には、絶対に自分でやりたいと思っていた」(同)

こうした嗜好はデナイト監督だけでなく、主演のジョン・ボイエガやスコット・イーストウッドも同様とのこと。プロデューサーも兼任したボイエガは来日すると秋葉原に買い出しに赴き、日本のマンガも大好きなのだそうです。イーストウッドもゴジラのファンでアニメのポケモンもよく見ていたとコメントしています。

「ゴジラ」第1作は60年以上前、ポケモンのアニメも20年以上、放送されています。ボイエガが熱狂的なファンだという「機動戦士ガンダム」も40年近い歴史を持っているのですから、2世代、3世代のファン層が生まれているわけです。

演劇の世界で「子どもと動物には勝てない」という言葉があります。「(ウケようとか、カッコつけようといった)邪念がない」というのがその理由だそうです。

オリジナルを構築したデル・トロ監督や本作のデナイト監督、主演のボイエガといったメンバーは、よい意味で子どもなのではないでしょうか。「好きなものは好き」なのは厳然たる事実で、「好きこそものの上手なれ」を具現化したのが本作ではないでしょうか。次回は「レディ・プレイヤー・1」を予定しています(敬称略。【ケイシーの映画冗報】は映画通のケイシーさんが映画をテーマにして自由に書きます。時には最新作の紹介になることや、過去の作品に言及することもあります。当分の間、隔週木曜日に掲載します。また、画像の説明、編集注は著者と関係ありません)。

蔦屋書店で近藤亜樹「花と小さな生き物」展

【銀座新聞ニュース=2018年4月19日】書店やレンタル店、フランチャイズ事業などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(渋谷区南平台町16-17、渋谷ガーデンタワー)グループの銀座 蔦屋書店(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3575-7755)は4月20日から5月14日までアートウォールギャラリーで近藤亜樹さんによる「Grow Wings展」を開く。

銀座 蔦屋書店で4月20日から5月14日まで開かれる近藤亜樹さんの個展「グロー・ウイングス(Grow Wings)展」に出品される「グロー・ウイングス(Grow Wings)」(oil on canvas)。

2011年の東日本大震災を経験し、東北芸術工科大学大学院を修了し、現在、香川県小豆島に移り住んで制作している画家の近藤亜樹(こんどう・あき)さんが、花々や小さな生き物に焦点を当てた作品を展示する。「広げた花びらが太陽に向かって飛ぶ翼のようだ」と道端で見つけた名前のない花を描いた「グロー・ウイングス(Grow Wings、成長する翼)」をはじめ、「さまざまな生き物がユーモアあふれる姿でそれぞれに与えられた生命を祝福してい」(蔦屋書店=つたやしょてん)るとしている。

近藤亜樹さんは「探るように感情と記憶と今を混ぜ合わせ、私はもう一度キャンバスに記憶する。そうして生まれた作品がもう一つの人格を持ち生き続けるように、私はアトリエで絵という種を蒔(ま)き、水を、光を、風を、熱を、一枚の絵に送り込」んでいる。「私にとって一枚の絵は、未来をつくるはじまりの希望の種」としている。

近藤亜樹さんは1987年北海道札幌市生まれ、東北芸術工科大学を卒業、卒業時に卒業制作展でプライズを受賞、2012年に東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科芸術文化専攻実験芸術領域を修了、在学時の2010年にニッポン・アート・ネクスト(NIPPON ART NEXT)2010」でグランプリ、2011年に第26回ホルベイン・スカラシップを受賞している。2014年に1年間絵画をやめて、実写と油彩アニメを組み合わせた短編映画「ヒカリ(HIKARI)」を制作、香川県小豆島に移り住んで取り組んでいる。

近藤亜樹さん(撮影者:Isao Hashinoki)。

時間は9時から23時30分。

大丸松坂屋画廊でギメル展、四季を彩る

【銀座新聞ニュース=2018年4月18日】国内百貨店業界2位の流通グループ、J.フロントリテイリング(中央区八重洲2-1-1)傘下の大丸松坂屋百貨店(江東区木場2-18-11)が運営するアートギャラリー「Artglorieux GALLERY OF TOKYO」(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3572-8886)は4月19日から25日まで「Four Seasons of Gimel-ギメル 美の軌跡“神は細部に宿る”」を開く。

大丸松坂屋百貨店のギャラリー「アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー(Artglorieux GALLERY OF TOKYO)」で4月19日から25日まで開かれる「フォー・シーズンズ・オブ・ギメル(Four Seasons of Gimel)-ギメル 美の軌跡“神は細部に宿る”」に出品される「チューリップ」。

ジュエリーメーカーの「ギメルトレーディング株式会社」(兵庫県芦屋市奥池町36-2、0797-22-0850)が日本の四季を表現する草花などをモチーフに制作した宝飾品の数々を「ギメルの四季(Four Seasons of Gimel)-ギメル 美の軌跡“神は細部に宿る”」と題して展示する。

大丸松坂屋百貨店と「リファンデーション」によると、ギメルトレーディングは1944年兵庫県生まれ、青山学院大学経済学部を卒業した穐原(あきはら)かおるさんが1984年に大阪・心斎橋でジュエリー会社「ギメルトレーディング」を設立したのがはじまりだ。1983年に外資系(スイス)の会社の工房で働いていた2人の職人を獲得し、ダイヤモンドの輸入加工として創業した。

1985年に芦屋市にアトリエ兼オフィスを建設し、大阪芸術大学金工科卒業の3人のスタッフと、石留め職人が加わり、1987年に芦屋川畔にアトリエ兼オフィスをオープンし、1991年の第2回国際宝飾展(幕張メッセ)に初めて「ギメル」ブランドとしてデビューし、2000年に「バーゼル」展に出展、11月に開かれたサザビーズのオークション「100年後に残るジュエリーを制作する工房」として世界の工房から選ばれた11社のひとつに選ばれ、完売したといわれている。

同じく「紅葉」。

2003年に瀬戸内国立公園六甲山地区の中にある芦屋市奥池の山中にアトリエを新たに建設し、移転した。2016年には「バーゼル」でセイコーが出展した、日本の桜をモチーフにしたピンクダイヤモンドと約150個のダイヤの腕時計「セイコークレドール」が話題を集めた。

ギメルでは「パヴェセッティング(paves setting)」という指輪などの表面に小さなダイヤの粒を隙間なく埋め込む装飾方法を活用しており、裏側のハチの巣状の仕上げにも特徴がある。最終的な仕上げは、木綿糸を使い、糸が切れるまでハチの巣状の地金の穴すべてを磨き上げている。現在、20人前後の職人がいるが、作品ごとに使用される宝石を吟味し、色や品質を揃えるのは穐原かおるさんが一手に引き受けている。

開場時間は10時30分から20時30分(最終日は18時)まで。入場は無料。ギメルの常設店は中央区では日本橋高島屋、和光にある。また、5月1日から8日まで和光で「ギメルコレクション」展を開く。