中央の百貨店3月、全5店ともプラス、前年休業、時短等の反動増で

【銀座新聞ニュース=2021年4月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の3月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の5店ともプラスだった。5店舗とも前年を上回るのは2019年9月の消費税増税前の駆け込み需要によるプラス以来だった。

3月の売上高で18カ月ぶりに前年を上回った大丸東京店。

3月は前年が「緊急事態宣言」発動直前で、行政により臨時休業や時短営業などを強いられた反動から全5店ともプラスに転じた。また、3月21日までの「緊急事態宣言」が解除された3月22日以降は「全店舗が通常の営業時間(レストランを除く)に戻り、大都市圏店舗を中心に入店客数は回復傾向」(三越伊勢丹ホールディングス)としている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比29.7%増(2月速報値2.1%減、確定値4.0%増、2月までは小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表、2月の商品別では婦人服・洋品、子ども服・洋品、雑貨、家具インテリア、家電がプラス、恵比寿三越は2月28日で閉店)と店頭ベースでは5カ月ぶりに前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同33.9%増(同速報値18.5%減、確定値18.5%減、但し空港型免税店の売り上げを除く、2月の商品別では全品目マイナス)と14カ月ぶりにプラスとなった。

伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、宝飾、時計、ラグジュアリーブランドなど高付加価値商品が引き続き好調で売り上げを牽引した。食品では年度末のごあいさつ用途での進物需要や、卒業・入学のお祝いやホワイトデーなどの需要は底堅く推移した。

オンライン売り上げは、店頭の期間限定イベントと連動した企画などが特に好調で、前年比約1.8倍と2月(約1.5倍)を上回る伸びをみせたという。

同じく14カ月ぶりにプラスとなった銀座三越。

訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税売上高)は主要3店舗における前年3月実績の反動が大きく、国内百貨店(既存店舗)合計で前年実績を上回った。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同38.6%増(同速報値10.6%減、確定値11.6%減)と5カ月ぶりにプラスとなった。

3月の店頭売り上げは、コロナ影響による前年の臨時休業(28日・29日は日本橋店、横浜店、新宿店、28日は大阪店)や時間短縮などの反動から前年実績を上回った。また、訪日外国人観光客売上高は前年比131.8%増、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売り上げは同25.3%増(既存店計27.9%増)だった。

対2019年比では、店頭売上は18.5%減(既存店計17.2%減)、訪日外国人観光客売上高は82.6%減(同82.6%減)、訪日外国人観光客の店頭売り上げは12.5%減(同11.0%減)だった。また、商品別売上高(15店舗ベース)では、美術品を除く商品群が前年を上回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同13.7%増(同速報値38.5%減、確定37.9%減)と2019年10月の消費税増税以降、18カ月ぶりに前年を上回った。

商品別では、ラグジュアリーブランドが「緊急事態宣言」の解除された関西や名古屋の店舗を中心に売り上げを伸ばしたほか、高級時計や美術の高額品が好調だった。大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高(速報値)は前年比123%増(客数同64%減、客単価同523%増)だった。訪日外国人観光客売上高を除いた大丸松坂屋百貨店合計の国内売上高は33%増だった。

J.フロントリテーリングでは2021年度より、これまで各店の実績に含めていた法人外商売り上げや本社に帰属する収益を「法人・本社等」として開示する。また、2021年度より、これまで「不動産事業」に含めていた不動産賃貸収入について「GINZA SIX(ギンザ シックス)」は「法人・本社等」へ、百貨店周辺店舗などは各店へ含める。いずれも対前年増減率は、前年実績を組み替えて算出している。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、2月の「GINZA SIX(ギンザ シックス)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同7.0%減だった。不動産事業がマイナスとなるのは、12カ月連続となる。ただし、3月からは「GINZA SIX」の家賃収入については「法人・本社等」に計上されるので、こんごは記事中に記載しない。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同43.4%増(同速報値14.3%減、確定14.3%減、2020年4月は5月の確定値段階で91.4%減と公表)と14カ月ぶりにプラスとなった。

松屋では2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大で臨時休業などのさまざまな影響が出始め、その後の緊急事態宣言の発出を受け、4月第1週から5月末まで一部を除き全館臨時休業を余儀なくされた。

このため、この3月は時短営業などの影響はあるものの、入店客数は1割増の水準まで回復(2019年比では約4割減)、また、ハウスカード所有者を対象とした特別招待会(春の松美会・感謝祭)などの各種施策を組んだことで春物商材が堅調に推移し、訪日外国人観光客売上高を除いた国内客の売上高は約30%増(2019年比でも約7%増)と大幅な伸びを示した。

とくに、銀座店の強みとなるラグジュアリーブランドが売り上げを伸ばし(前年比約70%増、2019年比約43%増)、不振が続いていた化粧品も、国内客の売上高については前年比約13%増にまで復調(2019年比約5%減まで回復)するなど、2月に引き続き、一部で改善傾向がみられたとしている。

一方、通期で銀座店の売り上げの約1/4を占めていた、訪日外国人観光客売上高は、2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により大幅に消失したまま推移している。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内73社196店舗(総従業員5万8967人)の2月の売上高(店舗調整後)は前年同月比10.7%減の3223億3238万円で、17カ月続けてのマイナスとなった。

2月は、1月(29.7%減)より減少幅が縮小し、回復の兆しが見えてきたものの、コロナ禍の影響がなかった2019年2月対比では21.9%減と、依然厳しい状況が続いている。「緊急事態宣言」の延長による対象地区店舗・テナントでの時短営業や、主要顧客である高齢層の外出自粛に加え、前年の閏年による営業日数減なども響いたとしている。

顧客別では、国内富裕層を中心に高額消費が活発で、ラグジュアリーブランドや時計・宝飾品などが高伸している他、巣ごもり需要やEC販売も引き続き好調で、国内市場は9.1%減(4カ月連続、シェア98.7%)と持ち直している。一方で、訪日外国人観光客売上高は入国規制で60.7%減(13カ月連続、シェア1.3%)、コロナの影響がない2019年比では86.4%減と低水準のまま推移している。

地区別では、地方は9.0%減(10都市以外の地区、4カ月連続)、大都市でも11.4%減(10都市、17カ月連続)と、その差は2.4ポイントまで縮小した。

商品別では、株高を背景に高級時計などを含む美術、宝飾、貴金属が増勢で、前年比(8.9%増、2カ月ぶり)、2019年比(1.5%増)と、ともにプラスとなった。化粧品は、訪日外国人観光客売上高の影響で前年割れしているが、国内顧客の需要増から一部に改善傾向も見られるという。

また、「イエナカニーズ」を反映し、調理家電、特選食器関連などが動いた家庭用品(0.2%増、4カ月ぶり)は、前年実績を確保した。衣料品はビジネス関連を中心に苦戦が続くが、一部軽衣料は健闘している。バレンタイン商戦は、店頭では混雑回避を目的に、ブランドの絞り込みや入場制限など制約の多い展開となったが、オンライン販売強化によるEC売上の高伸がカバーし、堅調に推移した。中でも、各社が実施した「自家需要」や「巣ごもり消費」向け施策などが好評だったとしている。

全国の百貨店の2月の営業日数は前年より1.0日少ない27.7日、109店舗の回答によると、入店客は5店が増え、92店が減ったとし、83店舗の回答によると2月の歳時記(節分、バレンタインデー)の売り上げについては8店が増え、56店が減ったとしている。

東京地区(12社25店)の2月の売上高(店舗調整後)は前年同月比13.5%減の878億0260万円と17カ月続けてのマイナスとなった。

国内88店舗の訪日外国人観光客需要の2月の売上高は同60.7%減の約43億3000万円と13カ月続けてマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが1.3%としている。

このうち、一般物品売上高は同54.7%減の約31億4000万円で、13カ月続けて前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同70.9%減の約11億9000万円、購買客数が同92.0%減の約1万人と13カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同390.8%増の40万3000円で、15カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2021年1月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2021年1月まで2位)で21カ月連続で2位、3位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から2020年5月まで4位、6月から2021年1月まで3位)で、9カ月続けて3位だった。

4位が食料品(3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位、9月3位、10月から2021年1月まで4位)で、5カ月連続だった。5位が紳士服・洋品で、2020年6月に4位に上がって以来、8カ月ぶりにトップ5に入った。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2021年1月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から2021年1月2位)で、10カ月連続だった。

3位は香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月から10月5位、11月から2021年1月まで3位)で、4カ月連続となった。

4位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位、9月6位、10月3位、11月から2021年1月4位)で、、4カ月連続となった。

5位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位、9月4位、10月6位、11月、12月5位、2021年1月6位)で、2カ月ぶりに5位に上がった。

6位はマレーシア(2018年1月から2020年2月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月と9月3位、10月7位、11月6位、12月7位、2021年1月5位)で、ワンランク下げた。

7位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位、9月7位、10月4位、11月7位、12月6位、2021年1月7位)で、2カ月連続となった。

丸善丸の内で中村愛が水彩画「春の花」展

【銀座新聞ニュース=2021年3月31日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は3月31日から4月6日まで4階ギャラリーで中村愛さんによる水彩画展「『春のおとずれ』ーAi Nakamura Watercolor Exhibition」を開く。

丸善・丸の内本店で3月31日から4月6日まで開かれる中村愛さんの水彩画展に出品される作品。

日本画家で、絵画教室「アトリエAI(アイ)」(埼玉県草加市栄町3-1-15、中村ビル)を主宰する水彩画家の中村愛さんが3年ぶりに丸善・丸の内本店で個展を開く。昨年の開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い延期されていた。

今回は、春の花を中心に、さまざまな季節の花を滲む絵の具に想いを込めてたくさん描いており、新作を含め約25点を展示する。また、会場では花を描いた既刊本も販売する。

中村愛さんは1980年埼玉県生まれ、2004年に東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、2006年に同大学大学院美術研究科日本画修士課程を修了、新生展で新生賞、2007年に松柏美術館花鳥画展で優秀賞、2009年に同大学大学院美術研究科博士後期課程を修了、2009年から同大学美術学部絵画科日本画教育研究助手を務め、現在、絵画教室「アトリエAI」を主宰している。

開場時間は9時から21時(最終日16時)まで。

銀座三越で今井龍満「偶然を生きるペットや身近な生き物」展

【銀座新聞ニュース=2021年3月31日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は3月31日から4月6日まで本館7階ギャラリーで今井龍満さんによる個展「偶然を生きるものたち2021″Pets 身近に生きるものたち”」を開く。

銀座三越で4月6日まで開かれている今井龍満さんの個展に出品されている作品。

カンバスにエナメル塗料を使って輪郭線を描き、アクリル絵具で色を出すという独自の「ポアリングの技法を用いて、“偶然を生きるいきものたち”」を描く今井龍満(りゅうま)さんが2年ぶりに銀座三越で個展を開く。本来は2020年4月に銀座三越で個展を開く予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により「緊急事態宣言」が出されたため、延期された。

今井龍満さんは「主に人生の中の偶然をテーマに作品」を制作している。この1年は、「主に家族などの身近な人たちと通常より親密な時間を過ごし、さまざまな考えを持った方も多く、またペットを飼われている方々は彼らにいつも以上に多くの癒しや喜びを与えてもらった」と受け止めており、今回は、「そのペットや身近な生き物たちのモチーフを中心に制作」したという。

今井龍満さんは1976年東京都生まれ、1995年にフランス・パリのグラン・ショミエール美術学校に学び、2009年から個展を開き、2013年には韓国ソウルで個展(2015年、2017年も)、2015年にタイ・バンコクで個展、銀座三越では2016年から毎年、個展を開き、2019年に香港で個展を開いている。

開場時間は10時から19時(最終日は18時)まで。

ヴァニラ画廊で山下和美「画業40年」展、著者解説付生原

【銀座新聞ニュース=2021年3月28日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル地下2階、03-5568-1233)は3月30日から4月18日まで山下和美さんによる「画業40周年記念原画展」を開く。

ヴァニラ画廊で3月30日から4月18日まで開かれる山下和美さんによる「画業40周年記念原画展」に出品される作品。

1980年に「週刊マーガレット」(集英社)にて「おし入れ物語」でデビューしたマンガ家の山下和美さんが2020年に画業40周年を迎えたことから、記念して主要作品の原画展を開く。

今回は「ランド」(「モーニング」にて2014年から連載で、2020年9月に完結)、「不思議な少年」(「モーニング」にて2001年から不定期連載で、一時休載を経て現在も連載中)、「天才柳沢教授の生活」(「モーニング」にて1988年7号から現在も連載中)を中心とした代表作の中から選んだ90点の生原稿を展示する。

それぞれの作品には山下和美さん自身のコメントが付けられている。また、会場ではサイン入り複製原画や、展示会限定オリジナルグッズも販売し、入場特典のプレゼントもある。

ウイキペディアによると、山下和美さんは1959年北海道小樽市生まれ、横浜国立大学教育学部を中退、1980年に「週刊マーガレット」にて「おし入れ物語」でデビュー、当初は少女マンガ誌で活動していたが、その後は青年マンガ誌「モーニング」(講談社)に活動の場を移した。

代表作に東北大学経済学部教授だった父・古瀬大六(1917-2007)を主人公のモデルとした「天才柳沢教授の生活」(1988年から「モーニング」にて連載)、マーク・トウェイン(Mark Twain、1835-1910)の同名の小説から着想を得た「不思議な少年」などがあり、2003年に「天才柳沢教授の生活」で第27回講談社漫画賞一般部門を受賞している。2014年から「モーニング」で連載してきた「ランド」は2020年9月に完結している。

開場時間は12時から19時(土・日曜日、祝日17時)まで。入場料は1000円。無休。入場に際してはマスク着用、検温などがある。時間指定有のチケット制で、定員制で1時間単位で入れ替えとなる。ライブポケット(https://t.livepocket.jp/t/te9i_)を通じて予約する。ただし、空きがあれば、当日入場できる場合もある。

インド、感染再拡大を懸念、シバ神祭りも州政府は厳重警戒(62)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2021年3月26日】3月13日現在、インド西部のマハラシュトラ州(Maharashtra、人口1億14000万人)の感染が再拡大しており、新規数は1万5817人と急増、累計228万人(死者5万2723人)で、実質陽性者も一時期10万人台以下に落ちたのに、16万人と再上昇、懸念される状況だ。

息子こと、Rapper Big Deal(左から2人目)は、パンデミックをものともせず、ラップスターとして旺盛に活動中、先般は州都で人数制限のライブショー、今は新作動画の撮影に飛び回っている。

公式発表では、変異株によるものでなく、人々の警戒心の緩みを原因にあげている。が、インド全体(累計1130万人、実質30万人、死者15万8000人)も新規数2万人台(2万4882人)に上がり、今後の推移が危惧される。

一方、ワースト2位で第3波中だったケララ州(Kerala、累計109万人、新規数1780人、実質4万人、死者4369人)は、減少傾向、しかし、3位以降のカルナータカ(Karnataka、累計95万8000人、新規833人)、アンドラプラデシュ(Andhra Pradesh、累計89万1000人、新規210人)、タミルナドゥ(Tamil Nadu、累計85万8000人、新規670人)とも若干増加、他にパンジャブ(Punjab)、グジャラート(Gujarat)も増えている。

なお、世界では、変異株が急再拡大しているブラジル(累計1140万人、新規数8万5663人、死者27万5000人)が、インドを抜いて2位に帰り咲いた。ここ10日ほどこの分では、インドを抜くなと注視していたが、予想以上に早かった。

トップは、依然アメリカ(累計2940万人、新規数6万4177人、死者53万2000人)だが、致死率では、ブラジルの方が上回る。イギリスの対人口比死者数も高い(累計425万人、新規6609人、死者12万5000人)。

当オディシャ州(Odisha、人口4600万人)は、ぶり返し州からの旅行者を警戒、空港では検疫強化中だが、列車で訪れる旅客は、監視が万全に行き届かず、野放し同然になっているようだ。他州からの入域者がウイルスを持ち込んでの再拡大が危惧される。

現状では、実質651人(累計35万8000人余、死者1918人)、新規数64人と、未だ抑制下にあり、当地プリー(Puri)はほぼ正常化、マスク派は僅少だ。

そこのけ、そこのけ、お牛様が通る。インドでは、牛は神さま、コロナどこ吹く風で、悠々と我が物顔に路地を行く。

インド全土のワクチン回数は、2820万回に達したが(アメリカの9820万回、中国の5266万回に次いで3位)、英アストラゼネカ(Astrazeneca)製のワクチンが血栓などの副作用で一部のヨーロッパで接種中断されていることが、今後インドにどう影響を及ぼすかが懸念される。

米ファイザー(Pfizer)製のワクチンは、変異株にも効くというが、インドで用いられているのは、アストラゼネカ製のコビシールド(Covishield)と、国産のバーラト・バイオテック社(Bharat Biotech)のコバキシン(Covaxin)だ。

12日に行われた日米豪印のオンライン首脳会談(クアッド=Quad、4カ国戦略対話)では、インドが他3カ国の支援のもとに来年末までに100億回分のワクチンを製造するとの取り決めがなされたが、中国を牽制する意図があることはいうまでもない。同4カ国は、定期的に合同軍事演習も行っており、昨年11月には、ベンガル(Bengal)湾のマラバール(Malabar)海岸で日本の海上自衛隊も参加しての共同訓練が実施された。

インド政府は、中国との国境地帯での小競り合いの平和的解決に向けて話し合いを進めているが、昨年6月、45年ぶりに兵士に死者が出ただけに、事態収拾は容易でないようだ。インド側としても、中国は商取引上欠かせない存在で、両大国の経済的利害の大きさからも、下手に刺激はしたくなく、バランスを取るのが難しいところ。いずれにしろ、パンデミック(世界的流行)下、無用な争いは極力避けたいところだが、中国の軍事行動加速化には抜け目なく、目を光らせている。

さて、私個人は、インドでワクチンを受けるつもりはないが、なぜかと言うと、副作用のみならず、感染リスクもあるからだ。医療インフラが脆弱な田舎州なので、PCR検査の間違いも稀でない。

つい最近も、検査ミスが発覚し、教育機関でのクラスター(感染者集団)は、間違いだったことが発覚したばかりだ。PCR検査そのものが100%正確とは言えないようだし、過去嫌というほど誤診体験があるだけに、現地の医療機関には極力、近づきたくない。

11日は、シバ神(Siva)のお祭りだったが、こういう宗教的行事になると、信者が大勢集まるため、州政府は厳重に警戒、人数制限や、マスク着用、ソーシャルディスタンス遵守の規制を改めて敷いた。

当ホテル街は、週末はローカル旅行者で賑わうが、一部の地域が第2・3波襲来で外出規制が敷かれていることから、今後の客足の鈍りが懸念される。ぶり返しが全土どこまで拡大するか、今しばらく、事態を静観することが必要のようだ。

★極私的動画レビュー/「イタリアガイドみめ」の観光案内

もっぱら動画にハマっている昨今、ドラマや映画のみならず、旅・食関連から占いまで、アトランダムに楽しんでいる。さて、今回は、イタリアのフィレンツェ(Firenze)で20年ガイドに携わる日本女性の観光並びにコロナルポをご紹介したい。

その名も片庭みめさんは、イタリア男性と結婚した一女の母だが、日本人御用達のガイド歴20年の現地語ペラペラのベテランでもある。パンデミック下イタリアの観光産業が大打撃を食らっているのはいうまでもないが、みめさんはめげずに、お洒落なラメ入り布マスクと、イタリア仕込みのファッションで、観光客のいない閑散とした花の都、フローレンス(Florence)をライブでツアーガイドする。

ライブは1時間以上と長いので(20分前後の短めの編集動画もあり)、イタリアに行ったことがあるか、興味のある人でないと、疲れるかもしれないが、有名観光地の店が閉まって閑散とした様子を生で知るには貴重だ。

現在、フィレンツェは変異株の拡大で再ロックダウン(都市封鎖)、死者もイタリア全土で10万人を超えている。ガイド業も上がったりだろうが、愛嬌ある茶目っ気たっぷりに、オンラインで視聴者をバーチャルツアーへといざなってくれる。

ちなみに、私は学生時代ヨーロッパ一周ツアーの一環で、イタリアを訪れたことがあり、美しい花の都・フローレンスはとても気に入って、留学したいと焦がれたほどだった。ウフィツィ美術館(Galleria degli Uffizi)や、アルノ河(Arno)にかかる屋根付き橋、ポンテベッキオ(Ponte Vecchio)をそぞろ歩きながら、大きなソフトクリームを舐めたことが今も、思い出に残っている。

もし、フィレンツェに留学していたなら、イタリア男性と結婚していたこともありえ、パラレルワールドのもう1人の自分を見る思い、ただガイドではなく、情報発信のフリーランスに携わっていたと思うが。フィレンツェはそんな、我が青春のアルカディア(Arcadia、理想郷)、なのである。

後年インドで民宿を経営するようになって、フローレンス在住という若い日本女性が泊まったことがあったが、「きれいすぎると、飽きる」と漏らしていたことが印象に残っている。毎日見てると、あまりに美しすぎて飽きるというのは、何となく納得がいった。その点、インドは清濁併せ飲む混沌さ、エキサイティングで面白いかもしれない。

現実には、30年以上も居座ると、辟易するくらいうんざり、飽きるを通り越しているのだけど。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は2020年3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

2021年3月16日現在、世界の感染者数は1億2024万6451人、死亡者数が266万1194人、回復者が6820万0139人です。インドは感染者数が1140万9831人、死亡者数が15万8856人、回復者が1102万7543人、アメリカ、ブラジルに次いで3位になっています。

ちなみにアメリカの感染者数は2949万5420人、死亡者数が53万5628人(回復者は未公表)、ブラジルの感染者数は1151万9609人、死亡者数が27万9286人、回復者数が1019万5598人です。日本は感染者数が44万9318人、死亡者数が8645人、回復者が42万7345人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。インドの州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは2020年3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は2020年5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています。編集注は筆者と関係ありません)。