丸善丸の内で磯部光太郎、楚里勇己、田村星都ら「万葉言の葉」展

【銀座新聞ニュース=2020年9月22日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は9月23日から29日まで4階ギャラリーで「第2回万葉の言の葉-注目作家6人の表現」を開く。

丸善・丸の内本店で9月23日から29日まで開かれる「第2回万葉の言の葉-注目作家6人の表現」に出品される蒼野甘夏さんの「令月気淑(きよ)く向かい風をゆけ」。

「万葉集」の時代に「日本人の思惟や感性の多くは形成していたとされ、その言葉からは面影、音、肌ざわりなど、生み出される雰囲気が伝わって」(丸善)くる。今回は「さまざまな万葉の言葉の中から特別に浮かび上がる各作家の個性あふれる表現空間へとご案内」する。

2018年9月に第1回目を4人で開き、今回は日本画の蒼野甘夏(あおの・あまなつ)さん、阿部観水(あべ・かんすい)さんに、磯部光太郎(いそべ・こうたろう)さんと楚里勇己(そり・ゆうき)さんが加わり、前回と同様に、陶芸家の田村星都(たむら・せいと)さんと田中陽子(たなか・ようこ)さんが「万葉の言の葉」や「古今和歌集」の中から特別に浮かび上がる作品を展示する。

ウイキペディアによると、万葉集は7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれた日本に現存する最古の和歌集で、天皇、貴族から下級官人、防人(さきもり)などさまざまな身分の人間が詠んだ歌4500首以上を集めており、成立は759(天平宝字3)年以後とみられている。

日本文学における第一級の史料であると同時に、方言による歌もいくつか収録されており、そのなかには詠み人の出身地も記録されていることから、方言学の資料としても重要な史料とされている。

万葉集の成立に関しては詳しいことはわかってないが、大伴家持(おおともの・やかもち、718-785)編さん説が最有力とされている。ただ、1人の編者によってまとめられたのではなく、巻によって編者が異なり、大伴家持の手によって20巻に最終的にまとめられたとするのが妥当とされている。

古今和歌集は、平安時代前期の勅選和歌集で、全20巻歌数は総勢1111首、勅選和歌集として最初に編さんされた。仮名で書かれた仮名序と真名序(漢文で書かれた序文)の2つの序文を持つが、仮名序によれば、醍醐天皇(だいご・てんのう、885-930)の勅命により「万葉集」に選ばれなかった古い時代の歌から選者たちの時代までの和歌を選んで編さんし、905(延喜5)年4月18日に奏上された。

ただし、現存する古今和歌集には、905年以降に詠まれた和歌も入れられており、奏覧ののちも内容に手が加えられたと見られ、実際の完成は912(延喜12)年ごろとの説もある。

選者は紀友則(きの・とものり、845-907)、紀貫之(きの・つらゆき、866-945)、凡河内躬恒(おおしこうちの・みつね、859-925)、壬生忠岑(みぶの・ただみね、860-920)の4人で、序文では紀友則が筆頭にあげられているが、仮名序の署名が紀貫之であり、巻第16に「紀友則が身まかりにける時によめる」という詞書で紀貫之と凡河内躬恒の歌が載せられていることから、編さんの中心は紀貫之であり、紀友則は途上で没したと考えられている。

蒼野甘夏さんは1973年北海道新篠津村生まれ、北海道女子短期大学工芸美術科を卒業、2009年に道展新人賞、2011年に「ヤング・アーティスト・ジャパン(Young Artist Japan)」で準優勝、第30回損保ジャパン美術財団選抜奨励展で秀作賞、2014年に道銀芸術文化奨励賞、2013年にヴォカ(VOCA)展2013に出品、2015年に東山魁夷記念第6回日経日本画大賞展で入選している。

阿部観水さんは1988年神奈川県生まれ、2012年に武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業、卒業時に同大学日本画学科卒業制作選抜作品展、同大学卒業・修了制作優秀作品展に出品、第48回神奈川県美術展に参加、2013年に第21回三菱商事アート・ゲート・プログラムで入選、2014年に山梨学院大学アート・オークションで入選、「アルビオン・アワード(ALBION AWARDS)2014」で入賞、2015年から個展を開いている。

磯部光太郎さんは1970年東京都生まれ、1995年に東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、在学中の1994年に蓮華寺天井絵制作に参加、1997年に同大学大学院美術研究科日本画専攻の修士課程を修了、天龍寺天井絵制作にアシスタントで参加、富村村営公共施設壁画制作に参加した。

1998年に国宝中尊寺金色堂(内陣巻柱)の復元模造、復元模写図を担当、2010年にアートアワード・ネクスト審査員賞、2013年に鎌倉市観光協会より「うちわ」原画制作を依頼され、2016年に絵本「あまがえる、のはらへ」(福音館書店)の原画を制作している。

楚里勇己さんは1985年愛知県長久手市生まれ、2010年に東京芸術大学美術学部絵画科日本画を卒業、2014年に伊藤忠商事のカレンダーに採用され、2019年に共同印刷のカレンダーに採用されている。

田村星都さんは1980年石川県小松市生まれ、2004年に筑波大学国際総合学類を卒業、毛筆細字三代目の父親、田村敬星(たむら・けいせい)さんに師事し、2007年に石川県立九谷焼技術研修所実習科を修了し、2010年より石川県小松市に工房を構えて制作している。

田中陽子さんは1992年石川県生まれ、2015年に金沢美術工芸大学工芸科を卒業、2017年に同大学大学院美術工芸研究科修士課程を修了、同年に金沢卯辰山工芸工房技術研修者陶芸工房に入所している。

2013年に第69回金沢市工芸展エムザ社長賞(2016年に北陸放送社長賞)、現在形の陶芸萩大賞展3(2016年に岩国美術館賞)で佳作、2014年に京展で館長奨励賞、2014年に国際滝富士美術賞で優秀賞、2015年に「マイヤー×信楽大賞」日本陶芸の今一伝統と革新で入選している。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。入場は無料。

注:「国際滝富士美術賞」の「滝」は正しくは旧漢字です。名詞は原則として常用漢字を使用しています。

志門で小泉晋弥企画「空と縁起」展、松林彩子と石井抱旦が個展

【銀座新聞ニュース=2020年9月21日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル、03-3541-2511)は9月21日から26日まで松林彩子さんによる「空と縁起」シリーズvol1を開く

ギャルリー志門が9月21日から26日まで開く松林彩子さんの個展のフライヤー。

「空(くう)と縁起」シリーズは茨城大学名誉教授の小泉晋弥(こいずみ・しんや)さんが企画した展示会で、第1弾として9月21日から26日まで画家の松林彩子(まつばやし・さいこ)さんが個展を開く。第2弾として、9月28日から10月3日まで前衛書家の石井抱旦(いしい・ほうたん)さんが個展を開く。

小泉晋弥さんは「空と縁起?新たな共生の芸術をもとめて《21世紀を生きるために》」として、企画の趣旨について説明している。小泉晋弥さんは、2017年に作成された映画「ヨーゼフ・ボイスは挑発する」が今年日本各地で上映され、他界してから30年以上経てボイス(Joseph Beuys、1921-1986)が再評価されるのは「世界がポストモダン以後の混迷をまだ抜け出せていないためだろう」とし、「そのボイスの眼差しの先にいるシュタイナー(Rudolf Steiner、1861-1925)は、西洋的哲学に東洋的宗教の魂を吹き込もうとしていた」という。

同じく9月28日から10月3日まで開かれる石井抱旦さんの個展のフライヤー。

「彼らを貫く新たなヘレニズムというべき東西思想の融合過程が見えてくる。私たちは、仏教の側から西洋思想を見直すことができる」とし、「仏教の重要概念である『空』は、『万物はすべて因縁によって起こる仮の相で実体がないということ』」で、「『無数の因縁によって万物が起こる』状態を『縁起』という。この世のすべては『空』であり『縁起』(関係の過程)によって出現し存在するということ」としている。

その上で「この見方は、芸術の価値は作品自体にではなく、作品を生み出すプロセスそのものにあるというボイスの態度に重なる」としている。さらに、小泉晋弥さんの研究対象である岡倉天心(おかくら・てんしん、1862-1913)を引用して「歴史とは死物ではなく『自分の体の中で、活動しつつあるものだ』といった」と「空と縁起」についての重要性を強調している。その上で「仏教的思想を通して、ボイス、シュタイナーにつらなる歴史を生きる芸術をめざしたい」としている。

松林彩子さんは神奈川県生まれ、日本大学生物資源科学部農芸化学科を卒業、武蔵野美術大学造形学部通信教育課程油絵学科絵画コースを卒業、2014年に第88回国展で入選(2015年、2016年、2017年、2018年、2019年とも入選)、2015年に「アートウエーブ(ART WAVE)受賞作家展」に出品、2020年に第54回レスポワール展新人選抜2020で個展を開いている。現在、国画会会友。

石井抱旦さんは1947年山形県寒河江(さがえ)市生まれ、大学の文学部歴史学科日本史専攻を卒業、小学校の教師となり、1970年頃より前衛書家として活動、1980年から海外展に出品し、ヨーロッパ、アメリカ、アジアを巡回し、1989年に「奎星(けいせい)展」で上田桑鳩(うえだ・そうきゅう)記念賞、1990年に毎日書道展でグランプリ、2008年より毎年「テン・テン(Ten・ten)」展を企画し開いている。2017年にNAU21世紀美術連立展で奨励賞を受賞している。現在、「奎星会」理事。

26日14時から小泉晋弥さんによるオンライン講演会「空と縁起」を開く。14時から小泉晋弥さんが基調講演し、14時45分から小泉晋弥さんと松林彩子さん、石井抱旦さんの鼎談を開く。いずれも現在、ギャルリー志門がオンラインの参加者を募集している。

小泉晋弥さんは1953年福島県生まれ、1976年に東京芸術大学美術学部芸術学科を卒業、1978年に同大学大学院美術研究科美術教育学を修了、いわき市立美術館学芸員、郡山市立美術館主任学芸員を経て、茨城大学教育学部助教授、五浦美術文化研究所副所長、茨城大学教育学部付属中学校長を兼任し、2000年に茨城大学教授、東京芸術大学美術学部、愛知県立芸術大学美術学部非常勤講師も務め、現在は茨城大学名誉教授。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、入場は無料。オンライン講演会の参加希望者は先着100人まで申し込める。参加は無料。希望者はギャルリ―志門(g-simon@bu.iij4uor.jp)までメールを送る。参加者には事前に資料と講演会参加URLが送られてくる。

丸善日本橋で片岡球子版画展、平山郁夫、中川一政、熊谷守一らも

【銀座新聞ニュース=2020年9月20日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は9月23日から29日まで3階ギャラリーで「あふれるパワー-片岡球子と巨匠版画展」を開く。

丸善・日本橋店で9月23日から29日まで「あふれるパワー-片岡球子と巨匠版画展」に出品される片岡球子の「錦織りなすめでたき富士」(リトグラフ、1992年)。

日本画家で「帝展」や「院展」にたびたび落選し「落選の神さま」とまでいわれた片岡球子(かたおか・たまこ、1905-2008)は、「強烈な色彩と斬新な構図で独自の画風を確立し多くの人々に勇気と希望をもたらし」(丸善)ており、毎年、丸善・日本橋店で版画作品を展示販売している。

同時に日本の風景画家で「国民的画家」として知られる東山魁夷(ひがしやま・かいい、1908-1999)、シルクロードの画家、平山郁夫(ひらやま・いくお、1930-2009)らの作品も併せて展示販売する。

ほかに出品されるのは、日本画の伝統的な様式美を現代的な感覚で表現した加山又造(かやま・またぞう、1927-2004)、女性画や静物を生き生きと描いた小倉遊亀(おぐら・ゆき、1895-2000)、上村松篁(うえむら・しょうこう、1902-2001)の子息で、花鳥画の第一人者として知られる元京都市立美術大学副学長の上村淳之(うえむら・あつし)さん、日本画家で京都造形芸術大学元学長、京都造形芸術大学大学院教授、同大学付属康耀堂美術館館長の千住博(せんじゅ・ひろし)さん、東京芸術大学名誉教授の中島千波(なかじま・ちなみ)さん。

棟方志功(むなかた・しこう、1903-1975)と交流があった木版画家の斎藤清(さいとう・きよし、1907-1997)、ヨーロッパで学んだ油彩画に、桃山美術や琳派、南画といった日本の伝統的な美術を取り入れ、装飾的な世界で知られた洋画家の梅原龍三郎(うめはら・りゅうざぶろう、1888-1986)、バラの絵で知られる洋画家、中川一政(なかがわ・かずまさ、1893-1991)、孤高の洋画家で自宅の虫や花を描き続けた熊谷守一(くまがい・もりかず、1880-1977)ら。

ウイキペディアなどによると、片岡球子は1905年北海道札幌市生まれ、1926年に女子美術専門学校(現女子美術大学)日本画科高等科を卒業、神奈川県立横浜市大岡尋常高等小学校教諭を勤めながら絵画を制作し、「帝国美術院展覧会」(帝展)に3回落選し、1930年に「日本美術院展」(院展)に初入選、1933年にも入選したが、その後は落選が続いた。

1939年から院展の入選が続き、1955年に大岡小学校を退職、女子美術大学日本画科専任講師に就任、1960年に同大学助教授、1965年に同大学教授、1966年に愛知県立芸術大学日本画科主任教授、1973年より同大学客員教授を務めた。1976年に勲三等瑞宝章を受章、1982年に日本芸術院会員、1989年に文化勲章を受章、100歳を超え、脳梗塞に倒れ、療養に努めたが、2008年に103歳で亡くなった。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は17時)まで。入場は無料。

銀座三越で高田明美展、クリィミーマミ、うる星やつら等の版画等

【銀座新聞ニュース=2020年9月20日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は9月23日から28日まで9階銀座テラス(03-3535-9373)で「高田明美展」を開く。

銀座三越で9月23日から28日まで開かれる「高田明美展」のフライヤー。

「魔法の天使 クリィミーマミ」をはじめとするさまざまなテレビアニメのキャラクターデザインなどを担当し、2018年にデビュー40周年を迎えたイラストレーターの高田明美(たかだ・あけみ)さんが手がけた「魔法の天使 クリィミーマミ」を中心に「きまぐれオレンジ☆ロード」や「うる星やつら」の版画、書き下ろしの原画を展示販売する。

また、「魔法の天使 クリィミーマミ」のクリアファイル、「きまぐれオレンジ☆ロード」や「うる星やつら」の缶バッチ、ポストカードなどの関連グッズも販売する。

高田明美さんは1955年東京都生まれ、多摩美術大学グラフィックデザイン専攻を卒業、タツノコプロに入社、1978年から1979年までフジテレビ系で放送された「科学忍者隊ガッチャマンⅡ」のキャラクラーデザインを手掛け、1979年から1980年までフジテレビ系で放送された「科学忍者隊ガッチャマンF」のキャラクターデザインを担当し、1981年に退社し、フリーとして活動、1981年から1986年にフジテレビ系で放送された「うる星やつら」のキャラクラーデザインを手掛けた。

1983年から1984年に日本テレビ系で放送された「魔法の天使 クリィミーマミ」のキャラクラーデザイン、1986年に発売されたOVA「アーバンスクウェア 琥珀の追撃」のキャラクラーデザイン、1986年から1988年にフジテレビ系で放送された「めぞん一刻」の第27話(1986年9月24日)から第96話(1988年3月2日)までのキャラクラーデザイン、1987年から1988年に日本テレビ系で放送された「きまぐれオレンジ☆ロード」のキャラクラーデザインを担当した。

1989年から1990年に日本テレビ系で放送された「機動警察パトレイバー」のキャラクラーデザイン、1992年にOVA「リカちゃん」シリーズ第3弾「リカちゃんの日曜日」のキャラクラーデザイン、1998年にテレビ東京系で放送された「魔法のステージ ファンシーララ」のキャラクラーデザイン、2016年にTOKYO MXで放送された「ココとニコ(CoCO&NiCO)」のキャラクラーデザインを担当した。2007年に自身のジュエリーブランド「エンゼル・ミソス(ANGEL MYTHOS)」を立ち上げ、現在は宝飾デザイナーとしても活動している。

26日15時から17時まで高田明美さんが来場し、サイン会を開く。期間中、会場で原画または版画を購入すると、先着100人まで直筆サイン入り色紙をもらえる。

開場時間は10時から20時(最終日は18時)まで。

サニーヘルス、山芋や冷めたおにぎりなどで難消化性でんぷん摂取を

【銀座新聞ニュース=2020年9月19日】健康食品、美容商品、化粧品などの販売会社、サニーヘルス(中央区八重洲2-1-6、八重洲kビル、03-6701-3000)はこのほど、レポート「太らない炭水化物!?レジスタントスターチにダイエット効果」を発表した。

でんぷんはブドウ糖がいくつも連なった多糖類と呼ばれるもので、体内に入るとブドウ糖単体に分解され、小腸で吸収され、血糖となり、エネルギーとして利用される。

ここ何年か、炭水化物抜きダイエット(糖質制限ダイエット)の流行により、炭水化物(糖質)は太りやすい食べ物として扱われるようになり、控える人が増えてきている。しかしながら、炭水化物の中には、食物繊維と同様の働きをするという特殊かつダイエットに有効な「レジスタントスターチ(resistant starch、難消化性でんぷん、耐性でんぷん)」という成分を含んでいる食品がある。

炭水化物でありながら、ダイエットに有効なレジスタントスターチとは、一体どういうものなのか?腸内環境を整えダイエットを促進するための食べ方を紹介する。

●食物繊維と同じはたらきをする炭水化物

米や小麦などの穀類やいも類などに含まれる炭水化物はでんぷんで、でんぷんはブドウ糖がいくつも連なった多糖類と呼ばれるもので、体内に入るとブドウ糖単体に分解され、小腸で吸収され、血糖となり、エネルギーとして利用される。エネルギーとして使われなかった余剰分は、脂肪細胞に取り込まれ脂肪となるため、穀類やいも類の食べすぎは太ると言われてきた。

お米なら温かいご飯よりも寿司や冷めたおにぎり、じゃがいもならポテトサラダにするなど温度を下げる料理にすることで、レジスタントスターチを増やすことが可能となる。

しかし、でんぷんの中には消化、吸収されず、大腸にまで届き、食物繊維と同じようなはたらきをするものがあることが研究により明らかにされており、それがレジスタントスターチだ。

●レジスタントスターチのダイエット効果

食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があり、どちらも腸内環境の改善に役立つという共通点はありつつも、それぞれ特徴が異なる。レジスタントスターチはこれら2つの食物繊維の両方のはたらきをすると考えられており、第3の食物繊維と呼ばれ、今注目されている栄養素という。

不溶性・水溶性の両食物繊維の機能を併せ持つことから、レジスタントスターチには、
1.ダイエット効果
2.腸内環境の改善
3.美肌・エイジングケア
が期待されている。

1.ダイエット効果
レジスタントスターチは腸内環境を整える効果が期待でき、便通をスムーズにし、ダイエット効果も高める。

普通のでんぷんは体内に入ると、ブドウ糖に分解されたのち吸収され、血糖となるが、レジスタントスターチは小腸で吸収されずに腸内を移動するという特徴があり、血糖値の上昇を抑える効果がある。血糖値の急上昇はインスリンの過剰分泌につながり、血糖が脂肪に変わるのを促進させてしまう。つまり、ダイエットにおいて、血糖値を急上昇させないことが不可欠とされている。

血糖値を上げにくいということはダイエット面のみならず、成人病のケアにも効果が期待できることと同じで、レジスタントスターチを摂取することで血液中の総コレステロールや悪玉コレステロールが低下することも研究により明らかにされている。

また、レジスタントスターチを多く含んだ食品は、小腸での吸収がゆっくりなので、腹持ちがよく、ダイエット中に辛い空腹感を緩和することができる。

2.腸内環境の改善
レジスタントスターチは炭水化物でありながら小腸で吸収されず、大腸まで届く。大腸で不溶性食物繊維のように便のかさを増してぜんどう運動を促進する効果、水溶性食物繊維のように善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やしたり、活動を活性化させたりなどの作用がある。

これらのはたらきにより、腸内環境を整える効果が期待でき、便通をスムーズにし、ダイエット効果も高める。大腸で善玉菌がレジスタントスターチを分解し、発酵すると、腸内では酪酸やプロピオン酸、酢酸などの「短鎖脂肪酸」が生成される。

この短鎖脂肪酸は、腸のエネルギー源となり、腸のバリア機能を高め、全身の健康に関わっていると考えられている重要な存在という。レジスタントスターチを摂取すると、腸内の短鎖脂肪酸の濃度が高まることが研究により判明している。

3.美肌・エイジングケア
腸内環境が悪化すると、目に見えて影響を及ぼすのが肌だ。便秘のときに肌荒れが目立つのが分かりやすい例で、腸内環境が悪いと肌トラブルを起こしてしまう。

これは腸内で悪玉菌が増えることによって有害物質が産生され、それが血液を通して全身に巡り、肌にまで到達するためといわれている。

2の「腸内環境の改善」を行うことが、美肌作りには必須で、どれだけ高級なスキンケア商品を使っても、体の内側である腸からきれいにしなければ、外側にも如実に表れてしまう。レジスタントスターチのはたらきによって「美腸」を保つことができれば、肌も美しく保つことができる。

●ご飯も冷ますことでダイエット向きに変身!

レジスタントスターチは、穀類、豆類、いも類、パスタ、コーンフレークなどでんぷんを多く含む食品に含まれている。また、同じ食品であっても、レジスタントスターチの含有量は加熱すると減り、冷ますことで増えるという特性を持つものもある。

この特性を生かして、例えばお米なら温かいご飯よりも、寿司や冷めたおにぎり、じゃがいもならポテトサラダにするなど、温度を下げる料理にすることで、レジスタントスターチを増やすことが可能となる。

注目したいのが、レジスタントスターチが豊富に含まれていて、しかも、加熱調理不要、生食可能な山芋だ。すりおろしてとろろにするよりも、切ってたべるほうが効率的にレジスタントスターチを摂取することができるので、短冊切りなど包丁で切る方法がお勧めとしている。

ダイエットのために炭水化物を抜く人は増えてきているが、その分、食物繊維の摂取量が少なくなってしまっては、本末転倒になる。ダイエットに役立つレジスタントスターチを含む炭水化物なら、制限することなく摂取したい。

もちろん炭水化物の食べすぎは体型に影響を及ぼすが、過度な制限は腸内環境を悪化させてしまう。正しく取捨選択できるようにしたい。

レジスタントスターチをダイエットに利用するなら、普段の主食を温かい白米ではなく、雑穀や冷ました酢飯やおにぎりなど、レジスタントスターチの含有量が多いものに変える。

また、生の山芋を日々の食卓に乗せるようにする。生で食べるなら短冊切りにするほか、ぬか漬けや浅漬けにしてもおいしいので、副菜として添える、などの方法がある。