(「世界の噴水15選」は3回に分けて掲載します。過去の記事については店舗名、個人名などを検索すると見られます)
【銀座新聞ニュース=2012年11月29日】トリップアドバイザー(渋谷区恵比寿西1-10-11、03-6416-9333)はこのほど、バケットリスト「死ぬまでに行きたい!?世界の噴水15」を発表した。
トリップアドバイザーが発表した「バケットリスト 死ぬまでに行きたい!?世界の噴水15選」で12位の「富の噴水」。
トリップアドバイザーの「バケットリスト(Bucket List、棺桶=かんおけ=リスト)」シリーズのひとつで、英語の口語表現では「死ぬまでにやっておきたいことの一覧」という意味になる。今回は「世界の噴水15選」で世界を代表する15の「世界の噴水」のうち、11位から15位までを紹介する。
11位は中国・西安の「大雁塔(だいがんとう)北広場」だ。「大雁塔」は652年に唐の高僧玄奘三蔵(げんじょうさんぞう、602-664)がインドから持ち帰った経典や仏像などを保存するために、唐朝第3代皇帝、高宗(こうそう、628-683)に申し出て建立した塔で、高さは7層64メートルあり、西安市の東南郊外にある大慈恩寺の境内に建てられている。
玄奘三蔵の設計により当初は5層だったが、土によって作られていたため、老朽化してしまい、長安年間(701年から705年)に高宗の皇后で、自ら皇帝に即位した武則天(ぶそくてん、623-705)の時代に、れんがでつくられ、10層まで積み上げられたが、その後8層以上が倒壊し、現在の7層に落ち着いた。1068年から1077年頃に火事で焼け、1550年頃に重修され、現在の中国成立後にも修築されている。北側の広場にあるのは、アジア最大規模の噴水で、毎日、噴水ショーが行われる。
12位はシンガポールの「富の噴水(Fountain of Wealth)」だ。サンテックシティーにあり、高さ約14メートルのリングの中央に小さな噴水があり、水に手を触れ、願い事を唱えながら3周すると願いがかなうといわれている。また、上のリングから水が流れ落ちるように設計されており、滝のように水が落ちる点で、世界最大級で、ギネスブックでも認定されている。風水に基づいてデザインされ、外から内に水が流れ落ちる=富が逃げないことを象徴しているといわれている。
トリップアドバイザーが発表した「バケットリスト 死ぬまでに行きたい!?世界の噴水15選」で14位の「バッキンガム噴水」。
13位はフランス・パリのベルサイユ宮殿だ。フランスのルイ14世(Louis14、1638-1715)が1682年に建設した宮殿(当初は離宮)で、パリの南西22キロに位置する、イボリーヌ県ベルサイユにある。主な部分の設計は当時の建築家、マンサール(Jules Hardouin-Mansart、1646-1708)とル・ブラン(Charles Le Brun、1619-1690)が手がけ、庭園はアンドレ・ル・ノートル(Andre Le Notre、1613-1700)が造営した、バロック建築の代表作とされている。
宮殿よりも噴水庭園のほうが建設にかかった労力は上とされ、宮殿建設が2万5000人だったのに対し、噴水庭園には3万6000人が投入されている。この噴水にはルイ14世の3つの意図が込められている。10キロ離れたセーヌ川の川岸に巨大な揚水装置を設置し、堤の上に水を上げさせ、古代ローマに倣って水道橋を作って、水を運び、巨大な貯水槽に溜め込み、自然をも変える力を周囲に示した「水なき地に水を引く」。
ルイ14世が10歳の時にフロンドの乱(1648年から1653年)で、貴族たちに命を脅かされたことから、貴族をベルサイユに強制移住させ、「貴族を従わせる」という姿勢を明確にした。また、民衆がベルサイユに入るのを許し、民衆に庭園の見方を教える「王の庭園鑑賞法」というガイドブックも発行し、「民衆の心をつかむ」ことを意識した。1979年に世界遺産に登録され、2007年に対象が拡張された。
14位はアメリカ・シカゴにある「バッキンガム噴水(Buckingham Fountain)」だ。1927年に大富豪のケイト・バッキングハム(Kate Sturges Buckingham)がシカゴ美術館の館長を勤めていた弟のクレアランス(Clarence Buckingham)の追悼として寄贈、完成した。シカゴ建築の随所に用いられた1920年代を代表する「ビューエックス・アート・スタイル(Beaux-Arts-style)」のひとつとされている。
グランドパークの中心地、レイクショア通りとコロンブス通りにの間にあり、2000年8月にシカゴのランドマークとされた。噴射された水が46メートルまで飛び、夏季には毎時に水のディスプレーや光と音のディスプレーが楽しめる。
噴水のデザインは1909年にシカゴ・プランを創立したエドワード・ベネット(Edward H.Bennett、1874-1954)で、依頼人のケイト・バッキングハムのヨーロッパ風の噴水という要望に応えて、パリの近く、ベルサイユ(Versailles)にある「バサン・ド・ラトメ」(Bassin de Latome)を元にし、直径85メートルにわたる噴水全体をミシガン湖を象徴し、4体の青銅のシーホースをそれぞれの角においた。
シーホースはミシガン湖に繋がる4州、イリノイ、インディアナ、ミシガン、ウィスコンシン州を表しており、フランス人彫刻家のマーセル・F・ロォヤウが制作した。
15位はシンガポールの「マーライオン(Merlion)」だ。1972年に当時記念物委員会の会員であり、バン・クリーフ水族館の館長でもあったフレイザー・ブルーナー(Arec Fraser-Brunner、1906-1986)により設計され、地元の彫刻家のリム・ナン・セン(Lim Nang Seng、1907-1987)が制作した。高さが8.6メートル、重さは70トン、制作費が7500万シンガポールドルという。
当初は水を常時吹き出しており観光名所であったが、ポンプの故障で水が出なくなり、近くに橋が架けられ正面から見えなくなった。2002年5月8日に海際に新設されたマーライオン・ピアに移転され、9月15日には正面から見えるように桟橋もつけられ、ポンプも修理され、再び水がほぼ常時吹き出すようになった。2009年2月28日に落雷により、たてがみと右の耳、土台の一部を破損する災難に見舞われ、事故の直後、居合わせた30人前後の観光客が飛散した破片をよけようと逃げ惑う騒ぎになった。
シンガポールには5つのマーライオンがあり、本家、セントーサ島の他は本家の背後のミニマーライオン、シンガポール政府観光局本局の前、フェーバー山にある。また、旅人の間で自然に語られるようになった「世界三大がっかり」という表現で、シンガポールのマーライオン、コペンハーゲンの人魚姫の像、ブリュッセルの小便小僧の3つのスポットの中の筆頭格として語られることもある。